事例1:友好的にアプローチする

 中西部のある広告代理店に入社したコピーライターのキャサリン・チャイルズ(仮名)は、すぐにケビン(仮名)が会社で怠け者と見られていることに気づいた。この若いアートディレクターは、人より仕事を仕上げるのが遅く、時代遅れのソフトウェアを使用し、スキルにおいて同僚に後れをとっていた。

 プロジェクトの進捗管理を任されていたキャサリンは、ケビンの仕事のやり方がクリエイティブチーム全体の足を引っ張っていることに気づいた。「彼のせいで制作のスピードが落ちていました。我々は毎日、一定量の成果物を仕上げる必要がありましたが、彼のファイルを処理するのに通常の3倍の時間がかかっていました」と彼女は言う。その問題は何カ月も前から続いていたにもかかわらず、誰もケビンに仕事のやり方を改善するよう提案していなかった。「誰もが気づいているのに、見て見ぬ振りをしていたんです。腹立たしく思いながらも、彼にスキルアップを要求する者はいませんでした」

 キャサリンは、ケビンと話すことにした。そして、彼の仕事に時間がかかるのは怠惰だからではなく、リサーチのやり方が原因であることを知った。「彼がいい仕事をしたいと思っているのは明らかでした」。さらに、ケビンは前の上司と衝突したことがあったという。それ以来、殻に閉じこもることで周囲のフラストレーションを無視しようとしていたのだ。

 ケビンは難しい課題への挑戦を辞さないはずだ――そう察知したキャサリンは、彼の仕事量を増やすことにした。また同僚たちに、彼に足りないスキルを指導するよう背後で根回しをした。そしてケビンとの対話で、そうした追加の努力が彼のキャリアにいかにプラスになるかを強調すると、彼は熱心に同意した。「こういう場合、本人のメリットになることを示す必要があるのです」と彼女は言う。

 ケビンはすぐに締め切りを守るようになり、こなす仕事量も増えた。同僚たちもそのことに気づき、怠惰なイメージは払拭された。誰かが努力していて、傍からもその努力がわかれば、その人に対する認識は変わるのだとキャサリンは言う。

事例2:改善の見込みがない場合、自分の仕事に専念する

 大手保険会社で直販事業部の立ち上げを任命されたマーク・バーリン(仮名)は、多くの難問を乗り越えねばならなかった。とくに深刻だったのは、電話営業部の責任者デニス(仮名)が追加の仕事――現状を変えるために必要な取り組み――を引き受けたがらないことだった。

 マークは問題をデニスに話し、双方の仕事を効率化するチャンスだとして説得に努めた。「それぞれのセールスファネルについて学び合おう」と提案したが、どうにもならなかった。そこでもう1度対話を持ちかけ、いかに他のチームに悪影響を与えているかを明確に伝えた。合わせて、非常に限定的で簡単に取り組める方法を提案した。それを一緒に達成することで相互の信頼関係を築けると考えたのだ。だがデニスとそのチームは、その後も事業部全体の足を引っ張り続けた。

 結局マークは、デニスの不備を補うために、自分の仕事のやり方を「完全に再構築」しなければならなかった。しかし、その努力は誰にも知られなかったわけではない。本社のバイス・プレジデントは、「デニスと仕事をすることがどれほど困難かを知っており、我々の努力を認めてくれました」とマークは言う。

 この経験からマークが得た教訓は、「怠け者にかかりきりになるのをやめて、自分のやるべき仕事に戻ること」だ。全力投球していない同僚に対処する、完璧な方法は存在しない。「疎外したり、取り込んだり、態度を改めさせたり、あるいは排除さえできるでしょう」とマークは言う。だが最終的には、「自分がなすべき仕事を認識し、人ではなくその仕事に専念しなければなりません」


HBR.ORG原文:How to Deal with a Slacker Coworker May 14, 2014

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キャロリン・オハラ(Carolyn O'hara)
ニューヨークを拠点に活動するライター兼編集者。