このマイクロ・メディテーションを定期的に実践してみれば、やがて注意力と落ち着きが増すことに気づくはずだ。この方法がマインドフルネスと集中力を高める訓練となるのだ。1日に2~4回、あるいは毎時間、または会議に行く前など、可能なタイミングで実践する予定を決め、忘れないようリマインダーをつくっておくとよい。状況に応じて不定期にやるのもいいだろう。会議やプレゼンの準備として、あるいはストレスを感じた時や、マルチタスクによって集中力が削がれている時などだ。マイクロ・メディテーションによって本来やるべきことに自分を戻すことができ、マインドフルネスの筋肉を鍛えることにもなる。

 私がお勧めしたい2つ目のテクニックは、「マインドフルネス・イン・アクション」――行動の中でマインドフルネスを行う、という方法だ。新たな訓練を日課として設けなくても、「物事に数秒単位で集中する」ことによって、1日の経験を少し違ったものにできるのだ。

 たとえばあなたが会議中に、誰かの発言を聞きのがしたこと、あるいはこの数分間意識が別のどこかに飛んでいたことに、ふと気づいたとしよう。あなたは聞くことをやめていたのだ。次の会議のことや、この後に詰まった予定のことを考えていたのかもしれない。あるいは単にぼけっとしていたり、携帯のメールに気を取られていたのかもしれない。これは誰にでも起こりうる。厄介なのは、深刻な誤認や、チャンスを逃すことにつながり、時間の無駄になりかねないことだ。

 そこで、会議では「1度に数秒間だけ、耳を傾ける」ことに最大の努力を払ってみよう。これは口で言うほど簡単ではないのだが、訓練を重ねるうちに、集中力を途切れさせず継続して聞けるようになる。意識が逸れていることに気づいたら、すぐに発言者の声に意識を戻す。この「集中し直す」という作業を1つの会議で数十回もやることになるかもしれないが、それはごく自然なことだ。人がどれほど頻繁に集中力を逸らすものなのか、私たちは自覚していない。さまよった意識を戻す時には、常に穏やかに、根気をもって行うこと。これは「いまこの時」に意識を向ける訓練なのだ。

 上記に挙げたテクニックは、文字通り、意識を鍛え脳の配線を変える行為だ。その結果として3つの重要な変化が起こる。①集中力が高まる、②物事をより明瞭に把握できるようになり、判断力が向上する、③心の平静が養われる。心の平静は、精神面・感情面の負担を軽減し、創造的な答えを見出す可能性を高める。

 マインドフルネスを鍛え、そのメリットを享受するためには、多大な時間の投資も特別な訓練法も必要ない。いますぐ、この瞬間から始めることができるのだ。


HBR.ORG原文:Mindfulness for People Who Are Too Busy to Meditate March 31, 2014

■こちらの記事もおすすめします
流鏑馬(やぶさめ)の達人が語る 集中力を高めるには、姿勢を正すこと
ストレスの意外なメリットを享受する法

 

マリア・ゴンザレス(Maria Gonzalez)
瞑想によるマインドフルネスに取り組む個人と組織を支援する、アルゴノータ・コンサルティングの創設者兼社長。