人事部門が担う役割は
今後どう変わるのか

 以上、経営トップの覚悟について述べてきたが、ではヒューマンリソース(HR=人事部門)の役割は何だろうか。

 私は、HRはプロセスの管理人だと考えている。私がHRの実務に携わっていたとき、年に数回、経営トップと一緒にタレント・レビューを行っていたことはすでに述べた。そこでは業績やポテンシャル診断といったタレントの詳細なデータを基に、どこに配置し、どんな役割や機能を課せば彼・彼女の能力を最大限発揮できるか、などについてじっくりと話し合った。

 その話し合いに必要となるデータや資料を準備するのがHRの役割だ。それはタレント・マネジメントのプロセスだけでなく、組織の将来戦略にも影響を及ぼす大変重要なもので、相応の専門性が要求される。

 さらには、関係者を巻き込み、コミットメントを取り付けながらプロセスを推進することも求められる。つまり、これからのHRは社内人材について正確かつ客観的で、応用可能な情報を収集・分析し、実行・推進するという点においてプロフェッショナルを目指すべきだと思うのだ。伝統的な「人事」ではなく、新時代の「HR」をぜひ目指してほしい。

 これまで6回にわたって「リーダーシップ&タレント・コンサルティング」の手法について紹介してきた。最後に強調したいのは、優れたリーダーの特徴は科学的に分析されており、周到なメソッドを使えば育成が可能であるということだ。

 本連載が皆さんの組織内の優れたリーダーを発掘・育成する際の一助になり、ひいては、日本企業がグローバルに伍して戦える競争力を勝ち取る契機とする上で少しでも参考になったとすれば、この上ない喜びである。

 私がこよなく愛する日本と日本企業の発展を祈りつつ、筆を置きたい。

(第6回・最終回 了) 


 

■トム・ペダーセン Tom Pedersen
コーン・フェリー
リーダーシップ&タレント・コンサルティング シニア・パートナー

アメリカ・カリフォルニア州出身。新生銀行のCLO(チーフ・ラーニング・オフィサー)、シンガポールDBS銀行のラーニング&タレント・ディベ ロップメントのヘッドとして、人材戦略の立案やヒューマンリソース実務を主導。慶應義塾大学で教鞭を執った経験も有する。2013年より現職。

 


 

コーン・フェリー Korn Ferry
世界40ヵ国、80を超える主要都市に展開する、世界最大級規模の人材コンサルティング会社。1969年にアメリカで創業、エグゼクティブ・リクルーティ ングのトップ企業に。近年は、有能なリーダーを育成することで人材や組織の課題を解決し、企業目標達成を支援するリーダーシップ&タレント・コンサルティ ング分野へと業容を拡大。日本においても40年以上の実績を持つ。www.kornferry.jp