●当社は、業績(目標の達成度)とバリュー(価値観の実践度)を測る「ナインブロック」というマトリックスを使い続けている。多角的な視点で人材の差別化を促進するためだ。 業務プロセスにおいて、リーダーは部下の業績がマトリックスのどの枠に入るかを公平に判断する。これは、マトリックスと人事評価を直接リンクさせる組み合わせである。トップが会社の方向性と目標を示し、直属の上司が部下に下したフィードバックについて、他のリーダーたちも提案や意見、補足を加える。リーダー1人ひとりは各自の業務範囲でしかその人材を把握していなくても、このシステムのおかげで一貫性が保たれ、すべての人材を公平な視点で評価できる。

●トップを筆頭に、リーダーの大半が最低30%の時間を人材関連活動に投じる。 これは通常の業務プロセスに組み込まれており、人材に関する議論を通じて多くの判断が下される。たとえば、リーダーシップや後継者、人材開発の機会、組織戦略、人材戦略、ダイバーシティ、グローバル規模での人材育成などについてだ。こうした話し合いにより、市場要因や内部要因、組織の複雑性、リスク要因などを考慮した、きめ細かく包括的な業績評価も可能となる。さらに重要なのは、一連の議論を進めるのは人事担当者ではなく事業リーダーである点だ。このことは当社の哲学と一致している。すなわち人材開発と評価は重要な経営課題であり、人事部だけの仕事ではないのだ。

●偉大なリーダーには特有のスキルが求められる。 私は人材に関する議論に関わるうちに、ある傾向に気づいた。たとえば、偉大なリーダーとよいリーダーの違いは知識量ではなく、判断力や意思決定力の差であることが多い。また、分析力のような一般的に必要なスキルより、勝利への欲求、粘り強さ、顧客支援能力や問題解決能力のほうが大切だ。こうした能力は議論を通じて明らかになることが多く、将来的な人材配置を考えるうえで重視されるべき事柄である。

 効果的な人材評価とは、きわめて人間的なやり取りであり、リーダーは多くの時間を費やす必要がある。決まった法則や公式は存在しない。全社を挙げて人材開発に真摯に取り組み、人材に十分な関心を注ぎ、率直なフィードバックと必要に応じたメンタリングを行うこと――これが成功の秘訣である。


HBR.ORG原文:The Secret Ingredient in GE's Talent-Review System April 17, 2014

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ラグー・クリシュナムーシー(Raghu Krishnamoorthy)
GEの幹部育成担当副社長兼チーフ・ラーニング・オフィサー