前回の記事で、IITに出向いて採用活動を行ったシスメックス株式会社の事例を紹介しましたが、同社もこの課題に向き合い、クリアしたことが採用成功につながりました。同社の人事担当者(前田真吾氏、中島幸季氏)は、その経験を振り返り、次のように語っています。

「IIT学生を対象に採用活動を始めた2011年時点は、『技術系部門に配属する』という曖昧な設定でしたが、これではIITの求人フォームを記入するができません。詳細な職種と職務内容が求められるからです。米州の人事担当が使っている『Job Description』を参考にIIT向けの求人票を作ったのですが、作る過程で社内の技術系部門に『IITの学生にどんなことを期待しているか』『どんな仕事を任せることができるか』ということを1からヒアリングしていきました。職務内容を明確に定めるためには、『社内で今後必要となる技術の把握』や『戦略の理解』が必要ですし、それを知っておくことで学生に対しても自社の説明をしっかりとでき、結果として学生をひきつけることにつながりました。当社の採用手法、受け入れ手法はこの3年で大きく成長したと感じています。外国人材採用は試しに1年だけやって終了、というのでは意味がないと思います。何年か続けていくことで初めてどんなタイプの学生がいるのか、彼らにどんな適性があるのかがつかめてくる。そのことで自社に本当にマッチする人材を見極めることにもつながり、入社後にお互いにとってベストな関係を築ける。人事はもちろん、現場の社員の意識にも変化が芽生えたと感じています。」

インターンシップ制度の活用でチャンスが広がる

 IITの学生採用にとりくみたいのであれば、最初にインターンシップを活用するのも有効です。 

 IITの場合、大学側が海外でのインターン経験を推奨しており、カリキュラムにも組み込まれています。長期休暇ともなるとインド国内に残る学生の方が少ないくらい、学生たちはヨーロッパ、アメリカ、シンガポールなど世界各地に散らばっていきます。彼らにとって、海外でインターンを経験することはごく当たり前のこと。企業側も、「この人」と思った学生を卒業後に直接呼び込める可能性が高まるので、この機会を重宝しています。

前回紹介したシスメックスのケースでも、インターンに来た学生が帰国後に評判を広めたことが「Day1」枠の獲得と応募者の増加につながった要因の1つといえるでしょう。また、IITの学生をインターンに迎えたことは副次的な効果ももたらしたようです。普通、インターンの仕事といえば「お手伝い」のレベルですが、IITのインターン生は「即戦力レベル」として活躍。既存の日本人社員は「自分よりも優秀かもしれない。負けていられない」と刺激を受け、職場の活性が高まったとのことです。