このプロセスがDay2、Day3と続き、2週間ほどで採用期間が終了します。当然ながら優秀な学生ほど早い段階で就職先が決定し、後の日程になるほど学生数は減っていきます。日本の大手商社が採用権限をもった役員と共に指定日に訪問したところ、学生がほとんど残っていなかった、ということもありました。それほどIIT学生の採用競争は熾烈を極めます。

写真を拡大
IIT-Bombayの帰りにみたアラビア海に沈む夕陽

 企業がその日に内定を出す必要があるのと同時に、学生側も内定をもらったらその日に入社するかどうかを決めなければいけません。そして、学生はある1社のオファーを承諾したら、その時点で就職活動は終了です。内定を数社もらって後でじっくり考えるということはできません。学生はどこかの企業から内定をもらいそれに応じたら、その時点で大学のプレースメントセンターは就職活動者リストからその学生を削除するからです。 

インドでは無名に近い日本企業が「Day1」の採用枠を獲得

 そうした中、我々が採用活動をサポートしているある日本企業が、2013年度の採用で「Day1」の参加枠を獲得しました。神戸市に本社を置く医療機器メーカー「シスメックス株式会社」です。

 同社の社員は単体で2230名、連結で6211名という規模で、170ヵ国以上に輸出実績を持つグローバル企業ですが、コンシューマ向け製品ではない分、一般の知名度がそれほど高くはありません。そんな同社が、グーグル、フェイスブック、マイクロソフトといった企業群が集結する「Day1」に招かれたのです。

 シスメックスがIITから高評価を得たのは、これは推測ではありますが、国籍、性別、人種も関係なく、日本と同じ雇用条件、処遇水準を提示したことが要因の1つとして考えられます。また、成長性豊かな医療機器分野で強みを発揮している点も挙げられるでしょう。そして何よりも、同社でインターンシップを経験した学生たちに好評だったことも大きく影響していると考えられます。

 シスメックスでインターンを経験した学生たちは、帰国後、友人たちに触れ回りました。

「みんな、シスメックスを知ってるか。社員は手厚く世話をしてくれたし、何しろ事業内容が魅力的ですごくいい会社なんだ」「日本には自分たちが知らないすばらしいグローバル企業があるぞ」「日本はすごく生活しやすくて、人も温かいんだ」。

 IITの学生たちは、成績の面ではシビアな競争を繰り広げるライバル同士ですが、仲間意識も非常に強く、情報交換が活発です。IITは全寮制であり学生たちは寝食を共にしているだけに、タテにもヨコにもしっかりとつながっているのです。

 こうして、インターンを経験した学生たちが「広告塔」の役割を果たしたこともあり、その評判は徐々に大学に広まりました。それもあってか、シスメックスへの応募者は増え、そしてその後3名のIIT学生を採用するに至りました。