ジョギングから戻ると、デイビッドは朝食を兼ねたミーティングに急ぎ、新任管理職のグループと話し合う。朝8時半には、有能な中堅社員向けに行われる「成功のための神経科学」のセッションに参加。朝10時半からは、1人当たり30分ほどの個人コーチングを行う。午後は企業の価値観に関する講義で、GE流のリーダーシップのあり方についてみずからの見解を述べる。その後、将来のリーダー候補10人ほどに5分間の「スピード・コーチング」を行う。パーソナル・ブランディングやマトリックス型組織の統率など、いくつかの領域に的を絞ったコーチングだ。夕方は、翌年の研修カリキュラムに関するブレーンストーミングに参加し、今後のビジネス要件について研究所のスタッフに意見を述べる。締めくくりは、シンガポールで研修中のリーダーたちとの顧客中心主義に関するテレビ会議だ。これらすべてをこなした後、施設のバーに赴き、参加者たちと談笑を交わして1日を終える。

 2010年から始まったこの招聘リーダーのプログラムは、クロトンビルなどの施設での研修が一方通行型からコラボレーション型へと大きく移行していることを象徴している。複雑な環境における学習は、発見や対話、経験、熟考、応用などを組み合わせることで成り立つ。そこでクロトンビルでは、さまざまな事業部と環境にいる人々を世界中から招き、1人ひとりに教える機会と学ぶ機会の両方を提供、参加者全員の視野を広げるよう努めている。デイビッドのようなリーダーたちにとって、この研修は話を聞くよい機会となる。参加者の話を聞き、それを吟味、検証して受け入れる。同時に、情報を提供して共有し、見解を述べ、受講者を励ましサポートする。ここはGEや世界で起きている出来事を、居ながらにして把握できる場所である。

 このプログラムは、約75人のトップリーダーと数千人もの参加者が絆をつくり、仕事や自分自身、キャリアに向き合う契機となった。教室やオフィスで行われる従来型の研修では不可能だっただろう。リーダーには組織のさまざまな階層の人材と触れ合う機会を、参加者には上層部のリーダーと接するチャンスを設けることで、我々は社内に強い結束力を生み出してきた。事業がきわめて難しい局面でも、常にこのプログラムは満席である。参加者へのアンケート調査やフィードバックでも成果は明らかで、最近は同プログラムのグローバル展開に乗り出した(現在、クロトンビルで行われる研修の内容の74%はアメリカ以外の国でも実施されている)。

 学びの文化を促進し、あらゆる階層のリーダーたちの結束を強めれば、個人の成長を後押ししながら人材パイプラインを強化できる――これが私たちの発見だ。


HBR.ORG原文:How GE Gives Leaders Time to Mentor and Reflect March 6, 2014

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ラグー・クリシュナムーシー(Raghu Krishnamoorthy)
GEの幹部育成担当副社長兼チーフ・ラーニング・オフィサー