促進焦点を強める方法

 あなたが予防焦点型の性格だったり、交渉という不確実な行為では特に予防焦点を強く持ってしまう傾向があったりしても、必要な時に促進焦点を持つ方法がある。1~2分ほど時間を取って、自分が得られるものや達成できることに考えを集中し、失う可能性があるものを頭の外に追いやるだけでいい。

 たとえばガリンスキーは、次のように質問するだけで買い手を演ずる被験者に促進焦点を持たせることができた。

「これから数分間、交渉で達成したいことについて考えてみてください。交渉では、どのように振る舞いたいですか。どのような結果を得たいですか。そうした振る舞いや成果を向上させるには、どうすればよいでしょうか」

 たったこれだけなのだ。あなたが次に交渉に臨む時は、達成したい内容と、成功した場合に生じるメリットのリストをあらかじめ用意しておこう。交渉を始める直前に、そのリストを再読する。そして最も重要なのは、うまくいかない可能性については一切考えないことだ。一切注意を向けないのである。

 このフォーカス・トレーニングは、繰り返し行えば楽にできるようになり、最終的には、程度の差はあれ意識せず自然にできるようになる。自分の目標を正しい方法で捉えれば、交渉はごく当たり前の習慣にできるのだ。


HBR.ORG原文:The One-Minute Trick to Negotiating Like a Boss June 11, 2013

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ハイディ・グラント・ハルバーソン
(Heidi Grant Halvorson)

コロンビア大学ビジネススクールのモチベーション・サイエンス・センターの共同ディレクター。