コンピテンシーだけに
頼るべからず

 変化のスピードが加速している昨今のVUCAな環境において、新時代のコンピテンシー・モデルが求められていることは明白だ。前時代的な古びたフィルターではなく、最新鋭の適切なフィルターを通して人材を見ることで初めて、新時代のリーダーを特定できる。

 コンピテンシーをアップデートすることには、次のようなメリットがある。

●職務の成功要件が定義される
●適切な人材を採用できる
●パフォーマンスの測定が容易になり、フィードバックの質が向上する
●人材戦略と経営戦略の一貫性を保つことができる

 

 コーン・フェリーの調査でも、高業績企業の約7割は、2~3年に一度の割合でコンピテンシーを更新しているという結果が出た。

 アップデートは、経営陣によるタレント・レビューを通じて行う。経営戦略と人材戦略を整合させるプロセスの一環として、今あるコンピテンシーの妥当性を検証し、修正を加えていくのだ。

 場合によっては、根本から作成し直すのではなく、マイナー・アップデート程度で済むかもしれない。その一方で、事業環境は日々刻々と変化しており、意思決定や社内確認に時間がかかる間にコンピテンシーも変わっていた、などという事態は避けたいものだ。

 二つ目の条件である、「コンピテンシーだけに頼らないこと」は、批判的な人が言うように、「コンピテンシーは魔法の杖ではなく、表面的な言動を測るものにすぎない」という認識を持たなくてはならない、という意味だ。これは、他の評素と併せて総合的に評価することで、補うことができる。

 一例として、コーン・フェリー・グループのLomingerとPDIの2社により、40年以上にわたる研究調査から導き出された「KF4Dモデル」という人材評価軸を次のページで紹介しよう。

※Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑さ)、Ambiguity(曖昧さ)の頭文字から成る「混沌として先が読めない世界」を表す言葉(第1回参照)