中国企業と組んだ
ダイキンの「本当の」狙い

 欧米流の経営論に象徴される経営人材像に加えてもう一つ、日本企業の体質をむしばんだものが、ガバナンスです。欧米式というよりは、米国式と呼ぶべきでしょうか。

 米国式経営では株主価値の最大化が命題とされ、短期で成果を出すことが求められます。また、説明責任の名の下に、あらゆる情報を開示するよう要求されます。

 これでは長期的な視点に立って事業を構想することなど、とうてい不可能です。

 ダイキン工業が中国のエアコン最大手、格力(コー・リー、英語名:グリー)電器とエアコン生産を業務提携したとき、社内では技術流出を懸念する反対意見が噴出しました。しかし井上礼之会長は、マスボリュームとコスト力を持つ格力の力を利用して、低価格製品で大量上市する道を迷わず選びました。

 後で分かったことですが、当時は日本独自のインバータ技術が省エネの世界標準となるかどうかの瀬戸際で、中国でインバータ機種を普及させることにより、世界でも主導権を握る狙いがあったようです。

 当時、ダイキンの社内でどのような調整が行われたかを具体的には知りませんが、取締役会やステークホルダー向けに、こうした思惑がつまびらかに説明されていたとは考えられません。

 何もかもオープンにするのが最善とは限りませんし、スカンクワークから大きな成果が得られることもあります。企業を丸裸の状態にするようなガバナンスが、時に、足かせになることを忘れてはなりません。