将来像の診断

 次に、組織の将来像(なるべき姿)を描こう。日本企業の実態を俯瞰すると、グローバル化する日本企業にとって、ほとんどのケースで3つの要素を組み合わせることが必要になっている。3つの要素とは、「世界標準的な要素」と「進出先各国独自の要素」、そして「日本的な独自の要素」である。例えば、本社機能(財務、人事、ITなど)は、先進的な外資系と同様の世界標準機能とし、営業機能は進出先の慣行に合わせるローカル機能とし、開発・製造は日本企業の強みを生かす日本機能とする、といった案配である。

 つまり、世界標準を青、日本的独自性を緑という具合に配色すると将来像もまだら模様になる(3つの要素の詳細、進出先各国独自の要素への配色については、次回以降で説明する)。

 ここで重要なのは、現状のまだら模様はいわば成り行きのまだら模様であり、なるべき姿のまだら模様とは異なるという点だ。現状のまだら模様にも外資系的な青色の領域があるが、それがなるべき姿において青色であるべき領域とぴったり重なっているとは限らない。緑色も同様である。あるべき配色と現状の配色は一致しないのが普通である。

 そして、第3の変革像(プロセス)は、伝統的には、現在像を将来像へと発展させることになる。そのような組織の変革像は人材の変革像と切っても切れない関係にあるので、次回以降、人材の変革と併せて解説する。 

組織の3像(現在像、将来像、変革像)が
人材に与えるインパクト

 さて、組織の3像についての新しいイメージは、グローバル人材マネジメントを一新する。それについての新見解の開陳が本連載のメインテーマとなるが、プレビュー的に、組織の3像が人材の3像に直結することだけざっと見ておこう(図2)。 

 

 まず、グローバル人材への需要は、組織の将来像が決める。少々乱暴な形で端的にその意味合いを示せば、例えば、本社組織には、外資系並みの青色グローバル人材、日本企業的な強みが生きる製造・開発機能の人材には緑色の日本人材、諸国での営業組織にはその国に精通したローカル人材となる。こうした諸色の間をつなぐハイブリッド人材も必須である。組織の将来像が人材の将来像(=需要)を決める。

 他方で、グローバル人材の当初の供給源(人材の現在像)は組織の現在像が決める。 言い換えると人材の現在像には組織の現在像が反映する。例えば、純・日本企業であれば海外経験をした日本人のみが主要供給源だったのが、これからは外国人が供給源に加わる。

 通常、組織の将来像と現在像が決める人材需要と当初の人材供給の間には需給ギャップが生じる。これを組織が現在像から将来像に向けて変革するプロセスの中で埋めることが必要となる。次回からは、その具体的施策を、組織の3像とそれに照らした人材の3像という枠組みで解説していく。