――国際化といっていた時代、多くの企業が「国際部門」を設置していました。

 社内は国内部門と国際・海外部門に分かれていて、例えば大手証券会社の地方の支店長にとって国際部門など他人事。自分は「マルドメ」(まるでドメスティック)の国内派だからとうそぶいて、国内の仕事をしていればいいと思い込み、またそれが許されていました。

 ところが2008年のリーマンショック以降、そのように悠長なことは言っていられないことが明らかになりました。世界中にばらまかれたサブプライムローンの破綻で、それを証券化し組み込んだ債券の大暴落、そして、金融市場での資金繰りが逼迫し、大手投資銀行のリーマン・ブラザーズが倒産すると、米国だけでなく、欧州の金融機関が連鎖的破綻の危機に陥り、世界的な金融危機が起こったからです。

 サブプライムローンは高いリスクがあるにもかかわらず、証券化されて金融商品を構成しました。大数の法則によりリスクが軽減されていると考えられたからです。しかし、実際はローリスクではなかったのです。サブプライムローン全体が持っているリスク総量を減らしたわけではないのですから。

 サブプライムローン入りの証券化商品を世界の多くの金融機関が購入しました。そのリスクが顕在化すれば、当然この債権を組み込んだ金融商品そのものの格付けが落ちていきます。そうすると価格が落ちるだけでなく、買い手がなくなり、売買もできなくなっていったのです。「マルドメ」の支店長は知らず知らずのうちにそのような金融商品を売っていたかもしれないのです。

――それが、グローバリゼーションの実態なのですね。

 米国のローカルな問題に端を発した焦げ付き騒ぎが、全米第4位の投資銀行を破綻に追いやり、その影響が世界中に波及して、日本でも株の暴落が起こり、世界同時不況で日本の製造業も大打撃を受ける。そして、サブプライムローンに関係する金融資産をあまり持っていなかった日本の銀行も融資が伸びないというように次々と連鎖していく感覚。グローバリゼーションの本質は、まさに相互連鎖(インターリンケージ)。海外の問題が日本に染み込み、日本の問題も海外に染み出していく。グローバリゼーションとはそういうことです。自分の意志でやめるとか関わらないという選択はできない現象です。