伝統的な人選方法が、非効率なマネジメントの大きな要因になっている。つまり、管理職の適材を探すに当たり、科学的手法や調査がほとんど用いられていないのだ。ギャラップが米国のマネジャーたちに、「あなたが管理職に起用されたのはなぜだと思いますか」と尋ねたところ、一般的な回答は「以前の(非管理職の時の)成果」か、「自社またはその分野における在職期間」であった。

 上記の理由は、マネジャーとして成功するために必要な資質を有しているか否かを考慮していない。プログラマー、営業担当者、またはエンジニアとして大成功を収めていても、そのこと自体はチーム・マネジメントに秀でている保証にはならない。

 ほとんどの企業では、社員を管理職に昇進させる理由は「マネジャーの資質を備えているから」ではなく、「マネジャーにふさわしいように見えるから」だ。しかしこの慣行は効果的ではない。経験とスキルは重要だが、マネジャーとして最大のパフォーマンスを見せるかどうかを示すのは、資質――当人が自然に示す考え方、感じ方、振る舞い方の反復的パターン――である。資質は生来のものであり、また優れたパフォーマンスの源だ。知識、経験、スキルは資質を伸ばすが、仕事に適した生まれつきの資質がなければ、どんなに訓練や経験を積んでも徒労に帰すだろう。

 優れたマネジャーの能力として先に挙げた5つを、すべて満たす人はとても少ない。ほとんどのマネジャーは、仕事への関心が薄いチーム、最悪の場合は同僚や顧客にマイナス思考を拡散することしか頭にないようなチームしかつくれずに終わる。だが、資質に恵まれたマネジャーの数を増やし、意欲的な従業員の割合を倍増させることができれば、その企業は競合他社よりも平均で147%高い1株当たり利益を達成する。

 留意すべきは――特に現在の経済状況では重要なことだが――優れたマネジメント人材の探索は、市況や労働力市場に左右されないということだ。大企業ではおおよそ、10人の従業員に対して1人のマネジャーがいる。そしてギャラップの調査結果によれば、10人に1人がマネジメントに適した生来の資質を有している。これらの数合わせをすれば、各チームに誰か1人はマネジャーとしての資質を備える者がいる可能性が高い。ただし我々の調査結果によれば、その1人はたぶん現職のマネジャーではなさそうだ。高い潜在能力を持つ、まだ発見されていない従業員である可能性が高い。

 幸いなことに、どの会社にもマネジャーとしての適材は十分に存在している。ただし往々にして気づかれていない。幹部はマネジメントの役割に最適な人材を選び、その潜在能力を開花させる必要がある。その人選においては、予測的分析の手法を使うべきである。

 企業はあまりに長い間、適任ではないマネジャーを登用し、訓練によって別の人間に仕立てようとして時間と労力、経営資源を無駄にしてきた。誤った人選を後から正す方法はない。


HBR.ORG原文:Why Good Managers Are So Rare March 13, 2014

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ランドール・ベック(Randall Beck)
ギャラップのマネージング・パートナー。世界各地に40以上のオフィスを持つ同社は、公共部門と民間部門のリーダー向けに調査、アナリティクス、アドバイスを提供している。

ジェームズ・ハーター(James Harter)
ギャラップのチーフ・サイエンティスト。職場のマネジメントと満足度を専門とする。共著書に『幸福の習慣』(邦訳はディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。