リーダーシップのような漠然としたものでも、計測可能 ですか?

 グローバル・リーダーシップや戦略的リーダーシップなどの曖昧なテーマの場合、上述の場合より複雑になりますが、不可能ではありません。たとえば、グローバル・リーダーシップの場合を考えてみましょう。

 グローバル・リーダーシップは、主に4つのスキルセットから成り立っています。1点目はモチベーションで、リーダー自身が異なる文化と関わっていこうとする動機を持っているかです。2点目が知識で、異文化と関わるために知っておくべきことについて十分な知識を持ち合わせているかという問題です。

 3点目はアウェアネス、つまり自覚する力です。現在の自分が持つスキルに基づいた行動がその文化的文脈において機能していない場合、一歩引いてそれに気づくことができる認識力です。ほかの人のやり方のほうが機能することに気づき、必要に応じて取り入れていける認知の力とも言えるでしょう。

 4点目はアクションです。その文化に対する感受性を持ったうえで、その文化に則したやり方に合わせて自分の行動を律する力です。企業として目指すのは、4点目のアクションであり、文化的な違いを乗り越え、ふさわしい行動ができる人材を見出したいわけです。

 この4つの視点をそれぞれ計測することは可能です。異文化の中で働くことに対するモチベーションが高いか低いか、あるいは以前より高くなったか、異文化に関する知識が高まっているか、その場その場の状況を自覚できているかどうかなど、一つ一つのセットを測定することはできます。グローバルリーダーを育成する際に確認すべきは、動機レベルの問題か、知識レベルの問題か、自覚レベルの問題かということです。それを見極めたうえで、段階に応じたラーニングを提供し、成果を測定していくわけです。

 いずれにせよ、計測によってラーニングの効果を明らかにすることは、よりよいラーニングの提供につながるということです。

企業内学習の成功に欠かせない要件は何でしょうか。

 企業内学習は、誰か、ないし、特定の部門だけが努力してうまくいくものではありません。まずは当の本人が学ぶことにコミットし、自分の殻を破る痛みを引き受ける覚悟が必要です。コースを受講すれば何とかしてもらえるだろうという、受け身の態勢では決して学ぶことはできません。また、ビジネスリーダーは先述の通り、部下の成長が自らの責任にかかっていると自覚することです。

 そして人事部門は、個人とビジネスリーダーの間に立ち、効果的な企業内学習を行うためのあらゆる価値を提供しなければなりません。マーケティング部門が売上げアップを自らの目標としているように、人事部門は社員の成長やモチベーションの向上を促す学習の場を提供し、それらを通じて業績にインパクトを与えられるよう、肝に銘じるべきです。

「卓越したグローバル企業ではすでに企業内学習の取り組みが始まっている」とベンハー教授。

 三者が責任を果たして初めて、企業内学習という素晴らしいダンスが踊れるのです。企業内学習が三者の共通言語となり、その結果好ましい行動変化が生まれ、企業のパフォーマンスが上がる――それが理想の状態であり、また、卓越した企業がまさに取り組み始めていることなのです。

(了)

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