――常に100%の力を出していると、いざという時に100%の力が出せないと言われることもありますが。

 100%の力を出さなくてもいいのではないでしょうか。常に80%、本番でも80%が保てればそれでいいのではないでしょうか。60%だったり100%だったりではなく、ずっと80%という方がいいこともあるでしょう。見る人によっては、それが100%に映るかもしれません。

――いざという時は100%の力を出さないといけないと思っていました。

 そんなことはないと思います。普段の結果が本番に出るわけですから、普段通りのことをやればいいだけのことです。

――とはいえ、大きな仕事などで緊張してしまい、普段通りの力が発揮できないこともあると思います。

 私自身、昔は緊張しましたが、緊張すると筋肉がこわばってしまいます。最近は緊張することもなくなりましたが、いい意味での緊張は必要です。緊張感がなければ集中もできません。しかし、悪い意味での緊張は解消する努力をしなければなりません。流鏑馬でも緊張しやすい人は、矢をどこに放たれるか分かりませんから、出すに出せません。本番というのは日常がつながった先にあるものですから、日頃の鍛錬で慣れるしかないのではないでしょうか。

――日常を本番と思って集中し続けるのは、強く意識しなければできないことですね。

 人間というのは、悪いことにはすぐ慣れてしまうものです。あぐらをかくことを覚えてそれに慣れてしまうと、いざ正座をしようと思ってもなかなか大変な思いをすることになります。本番をどのように迎えるのか考えれば、常日頃からそうした意識は持てるものだと思います。すべては毎日の積み重ね、繰り返しから生まれるのです。常に目の前のことに集中すればいいのです。

――先ほど、周囲を気にしてはいけないというお話がありましたが、特にリーダーには全体を見渡す能力も求められます。集中することと、周りの状況を見ることは両立するのでしょうか。

 もちろん両立できます。周りを気にするのか、周りを見ているけれどもそのなかで自分のことをきちっとやるのかで違ってきます。全体を把握しながらも、そこに集中できるようにしなければいけません。そこを到達点とするために、まず集中力を養うことが大事なのです。(了)