幸いなことに、アドレナリンに勝るとも劣らず気分をよくする、別のホルモンが存在する――オキシトシンだ。このホルモンは、人とのつながりによって活発に分泌され、実行機能を司る脳、つまり前頭葉前部皮質内の神経ネットワークを刺激する。そして、他者を信頼する能力、心を開いて共有する能力を高める。あなたがリーダーとしてやるべきなのは、あなた自身と他者のオキシトシンの分泌を促進することだ。同時に、(少なくともコミュニケーションにおいては)コルチゾールとアドレナリンの急増を防ぐ必要もある。

 自分が正しいことを証明したい、という依存症から自他を救うために、職場で実践すべきことを以下に紹介しよう。

●議論のルールを定める
 議論が紛糾しかねない会議に臨む際には、最初にルールを確立するとよい。生産的で他者の意見が尊重される話し合いにするための案を全員に求め、出されたアイデアを全員が見えるように書き留めよう。たとえば、考えを説明する時間を十分に取る、正否の判断をせず耳を傾ける、などもいいだろう。これらを実践すれば、険悪な会話に陥りがちな傾向を弱められるはずだ。会議の終了後、あなたとグループの全員で議論のしかたを振り返り、次回の改善点を考えてみよう。

●共感を持って聞く
 1対1の会話では、自分が話す時間を少なくして、聞く時間を増やすよう意識的に努力しよう。相手の見解をより深く知れば知るほど、相手に共感するようになる。しかも、あなたが相手にそうすれば、相手も同じようにするため好循環が生まれる。

●発言者の人選を考える
 会話が特定の個人に支配されるとわかっている場合は、全員が話せるよう機会を設けよう。出席者のうち、共有すべき重要な情報、見解、アイデアを持っているのが誰なのかを全員に考えてもらう。挙げられた名前、およびその人が話すべきテーマを書き留め、そのリストをアジェンダとして利用する。そしてさまざまな話し手に発言の場を開放し、自由回答形式の質問を尋ね、メモを取るとよい。

 他者と気持ちを通じ合わせ、結束すれば、争いを克服できる。私の経験によれば、最も闘志あふれるタイプ――会議室の中で最も優秀だと認められている人たち――でも、オキシトシンが分泌されやすい行動をとることで、自分の正しさを証明したがる中毒を克服できるのだ。


HBR.ORG原文:Your Brain Is Hooked on Being Right February 28, 2013

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ジュディス・E・グレイザー(Judith E. Glaser)
ベンチマーク・コミュニケーションズのCEOおよびクリエイティング・ウィー・インスティテュートの会長。リーダーシップ、組織文化、ブランドの課題に神経科学の理論を適用し企業を支援している。著書にConversational Intelligence (BiblioMotion, 2013)などがある。