データ量そのものが
質に変化し価値を生む

 次に、Pivotalジャパンで技術統括部テクニカルディレクターを務める仲田聰氏が、「データサイエンス×アジャイル開発」と題して、ビジネスの現場でのビッグデータ活用についての事例などを紹介した。

仲田 聰
Pivotalジャパン 技術統括部
テクニカルディレクター

「新時代のプラットフォームでビジネスの価値を最大化するには、データサイエンスと、その結果を迅速に現場に反映する開発体制の構築が重要」と語る同氏は、なかでもデータ収集過程での工夫の必要性を説く。

「“ユーザーが喜んで情報を提供してくれるエコシステム”をいかにつくり上げるか。データ量が膨大になったとき、量そのものが質に変化して価値を生むのです」

 たとえば、スマートフォンで日常使うアプリからクーポンを発行する代わりに、移動ルートや訪問店舗などの情報を提供してもらう形のデータ収集が、企業の新しい価値創造の源泉になる。

 また、アメリカの保険会社の事例では、それまであまり活用しなかったコールセンターに集まる膨大な音声データを分析し、自社ウェブの弱点を克服してアクセス数増に成功したという。埋もれたデータの掘り起こしが、業務を変え、新たな企業価値を生む契機となったのだ。

クラウドは失敗の経費を
最小化するインフラ

 事業インフラとして定着したクラウドは、イノベーションの基盤としても有効に活用できないだろうか。

堀内康弘
アマゾン データサービス ジャパン
テクニカルエバンジェリスト

 アマゾン データサービス ジャパンの堀内康弘氏は、テクニカルエバンジェリストの立場から、「ITの新世界、AWSはITインフラの考え方そのものを変える」をテーマに、クラウドのさらなる可能性に言及した。

「AWS(アマゾンウェブサービス)をはじめ、企業はクラウドを利用することでデータ解析に必要な初期投資と維持費を節約でき、そのことがイノベーションを加速します」

 初期投資が少なくて済むクラウドは、“失敗の経費”を最小限に抑えるインフラという一面を持つと同氏は述べる。開発過程において、あの手この手で何度もチャレンジできる環境づくりが可能になるからだ。

「ある寿司チェーンが、寿司皿のICチップから40億のデータを収集、商品の廃棄率削減に生かそうとしたものの解析費用がネックとなっていました。それがAWSを活用することで、2日という短い時間と10万円という低コストでの試行解析が実現したのです」

 開発に試行錯誤は付き物だ。クラウドは、リスクを恐れず新しいチャレンジに挑む企業風土づくりにも貢献する。