促進焦点型の人が得意とすること
●創造性、イノベーション
●チャンスを捉えて一歩先んじる
●リスクを恐れない
●仕事を素早くこなす
●選択肢をたくさん思いつく
●抽象的な思考

(ただしこのタイプは、間違いを起こしやすい、過度に楽観的になる、リスクをいとわないためにトラブルを招きやすい、などの傾向がある。)

予防焦点型の人が得意とすること
●綿密で、細部まで気を配る
●分析的な思考、推論
●計画
●正確さ(仕事に不備が少ない)
●信頼性
●問題を予期しておく

(ただしこのタイプは、変化を好まずチャンスを逃がしやすい、頑固、仕事が遅い、などの傾向がある。綿密な仕事は時間がかかるのだ。)

 さて、あなたも職場で自分がどちらの焦点を持っているか、見当がついたことと思う。自分の焦点のタイプを知れば、どんな職種や組織内の役割が自分のモチベーションに合っているか判断できるようになる。10年を超える研究の結果、人は自分のモチベーションに合った働き方をするとより能力を発揮できるだけでなく、仕事への興味と意欲をより強く感じ、仕事に価値を見出せることがわかっている。

 促進焦点型の人は、進歩や成長を実現できる仕事を探すといいだろう。動きの速い業界、つまり製品・サービスの変化が激しく、チャンスを逃さずとらえる能力が必須となる業界だ。テクノロジーやソーシャルメディアの分野が好例といえる。スポーツに例えるなら、大胆さやスピード、既成の枠組みにとらわれない発想がものをいう、攻撃的な役割を担える仕事である。

 予防焦点型の人は、安定と安全を感じられる仕事を探すのがいいだろう。このタイプは滞りなく作業を遂行すること、込み入った物事をさばくことが得意で、常に代替プランをいくつか用意しているので必要な時に即座に対応できる。たとえば契約弁護士やデータ専門家など、自分の入念さと注意深さが評価される仕事を検討してみよう。守備的な役割で最大の能力を発揮するので、脅威にいち早く気づき、会社やクライアントを守ることができるだろう。

「ならば起業家はどうなるのか?」とあなたは尋ねるかもしれない。「自分でビジネスを始めたいのだが、どちらの焦点が向いているだろうか?」どんな事業でも、成功するには促進と予防の両方が必要だ、というのがその答えではある。促進焦点しかない起業家は事業の立ち上げには成功するだろうが、おそらく長続きはしない。行く手に立ち塞がる避けがたい障害への備えがないからだ。予防焦点が強すぎる起業家は、障害への対処ばかり考えて身動きが取れなくなり、事業の立ち上げに至らない可能性がある。

 これは、よきパートナーの存在が重要である理由の1つだ。多くの場合、製品の可能性を見出すスティーブ・ジョブズのような人間と、それを実際につくって動かすスティーブ・ウォズニアックのような人間の両方が必要となるのだ。だから新しい事業を起こすのなら、促進型と予防型をバランスよくそろえて、それぞれの焦点と役割を一致させよう。


HBR.ORG原文:The Key to Choosing the Right Career April 8, 2013

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ハイディ・グラント・ハルバーソン
(Heidi Grant Halvorson)

コロンビア大学ビジネススクールのモチベーション・サイエンス・センターの共同ディレクター。