巨額の買収が大きく反映されたソフトバンク

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【再掲】図表

 それでは、2社のキャッシュフロー計算書(抜粋版)を見てみよう。まず2014年3月期のソフトバンクは、営業活動は約8,600億円のプラス、投資活動は大型買収を行ったため約2兆7千億円の大きなマイナス、財務活動は巨額の有利子負債による資金調達を中心に約2兆4千億円の大きなプラス、というまさに成長パターンの組合せとなっている。また前年をみても営業活動がプラス、投資活動はマイナス、財務活動がプラスという成長パターンである。

 ただ、この2年間を比較すると営業活動はほぼ同じ金額であるが、投資活動は3倍、財務活動は5倍と大きく拡大している。やはり前年と比較しても2014年3月期は大きな資金調達による巨額な買収を行ったことが分かる。一方で、営業活動からのキャッシュフローは前年から若干の増加にとどまっており、大型買収が事業年度の途中で行われたこともあるが、キャッシュフローの面からはまだ買収の成果は出てはいない。

 一方でドコモの2014年3月期は、営業活動は約1兆円のプラス、投資活動は有形無形固定資産の取得を中心に約7,100億円のマイナス、財務活動は約2,700億円のマイナスと典型的な安定期のパターンである。また、この状況は前年も同じである。

 このように2社を比較すると、成長パターンを継続しており、2014年3月期は有利子負債を使った巨額買収を行っているソフトバンクと、安定期のパターンを継続するドコモという違いが明確に出ている。また、営業活動からのキャッシュフローは2年連続でややドコモが上回っていることから、キャッシュフローで見た稼ぐ力はドコモがやや上回っているといえる。さらに、2社の営業活動からのキャッシュフローが2年連続で安定していることには、通信サービス事業の安定性が表われている。

 なお、財務活動に含まれる配当を比較すると、ドコモが3~4倍とかなり積極的に行っており、株主還元という意味ではドコモがより積極的だといえる。