次に事業の構造が表われる資産側の見方を確認しよう。資産側には、決算日時点で企業が保有しているカネやモノなどの資産がリストされている。一般に、いわゆるキャッシュを意味する金融資産や営業債権(売掛金などの顧客からの未回収分)、在庫といったキャッシュなどに変化しやすい流動資産、土地・建物・機械といった設備などを意味する有形固定資産。ソフトウエアやM&Aの際に営業力・技術力といった無形の価値を評価した金額である「のれん」などが含まれる無形固定資産。長い期間保有する有価証券などが含まれる投資その他の資産などがリストされている。

 ちなみに、比較的多くの企業では、流動資産、有形固定資産、無形固定資産と投資その他の資産のそれぞれ3つが 、3分の1ずつとなっているケースが多い。したがって、この比率を基準に、どれがより大きいのかを見ていくと、どのような資産、つまり経営資源をより多く持って事業を行っているかといった事業の特徴が見えてくる。

 まず、流動資産が多い場合は一般に2つの可能性がある。1つはキャッシュをたくさん保有している財務的に強い会社の可能性である。もう1つは、問屋のように、事業の特徴として在庫をたくさん保有し、顧客からの販売代金の回収にも時間がかかる営業債権や在庫が多い会社の可能性である。次に、有形固定資産が大きい場合はビルの賃貸を行っている不動産会社のように、設備投資型の事業であることを意味している。最後に無形固定資産や投資その他の資産が大きい場合は、大きな買収を行ってきた、あるいはいろいろな企業に投資をしてきた可能性が高いと考えられる。

 また、それぞれの大きさから、その企業の今後の課題も見えてくる。まず、キャッシュが大きい場合はその使い方が今後の課題といえる。一般にキャッシュの使い道には、①資産に使う、つまり事業投資などに使っていく、②負債に使う、つまり借入金・社債の返済などに使う、③純資産に使う、つまり株主に配当などで還元する、という3つが考えられる。このうち、キャッシュがたくさんある企業は、②は基本的に考える必要がないので、①か③、つまり事業に投資するのか、株主にバックするのかのどちらかが選択肢になる。次に営業債権や在庫が多い場合は、それらが不良資産にならないように、販売代金の回収に目を光らせ、在庫が不良在庫にならないように管理することが課題である。また、キャッシュを生み出すという視点からは、回収を早め在庫を少なくすること、つまり営業債権と在庫を減らす努力も重要になる。

 次に、有形固定資産が大きい場合は、大きな設備を持って事業を行っていることを意味するので、その設備を効率よく使うために稼働率を高めること、設備投資の段階できちんとした評価や判断をすることが大きな課題といえる。さらに無形固定資産や投資その他の資産が大きい場合は、買収や投資を行ったことを意味しているので、買収や投資の成果を生み出すことが課題といえる。

 このように資産の内訳から、事業の構造と事業の課題が見えてくる。なお、国際会計基準では、貸借対照表のことを財政状態計算書と呼んでいる。ただ、内容や位置づけには基本的に変化はない。