儲けの構造をつかむ「損益計算書」

 ソフトバンクは、積極的な買収によって規模はどの程度拡大したのであろうか。また利益や儲けの構造に変化はあるのだろうか。損益計算書を読むことで、企業の規模や成長、またその利益率やコスト構造から、ビジネスの構造や今後の改善ポイントなどが見えてくる。ソフトバンクの損益計算書から、その様子を見ていこう。

損益計算書の読み方

損益計算書は、ビジネスに接点がある方なら何度かは目にしたことはあるはずだ。(図表2参照)

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図表2

売上高:これは顧客にどの程度売れているのか、つまり、市場の動きや、競合と比較した製品・商品力、さらにマーケティング力や営業力の強さの集大成である。売上高の大きさは、規模を通じて競争優位の源泉の1つになり、シェアの大きさにもつながる。市場の動きや競合企業の動きとも比較して、金額の大きさと変化をしっかりと確認しておきたい。

売上原価:売上高に対する比率で見ていくと儲けの構造が分かりやすい。まず売上原価は製品・商品・サービスそのものの原価である。一般に、百貨店をはじめとする多くの小売業や自動車業界をはじめとする多くの製造業の売上原価率は70%~80%のことが多い。製薬業界や化粧品業界のように、20~30%程度の業界もあるが、この原価率の違いによって、販売管理費のコスト管理や在庫管理の厳しさも変わってくる。一般に原価率が高い場合は、利益を出すために販売管理費を効率よく使うことが重要になり、また、少し在庫を持っただけでも金額は大きくなるいので、不良在庫の発生を避けたり在庫を減らすことが重要になる。逆に、原価率が低い場合は、ある程度余裕を持って販売管理費や在庫の管理を行うことも可能になる。

販売管理費:この内訳を見ることによって、広告宣伝費に比重を置いて顧客に直接訴えかけ、顧客が購入することで販売することに比重を置くプル戦略、販売店などにバックマージンや手数料を払うことでチャネルの支援によって販売することを重視するプッシュ戦略、そのどちらに比重を置いているか、また、販売管理部門の人件費はどの程度多いのかなど、販売や管理にどのようなコストをどの程度投入しているのかが見えてくる。さらに、広告宣伝費と研究開発費は、攻めのコストとして重要なものであり、金額があれば公表していることが多いので、その金額の大きさや売上高に対する比率を同業他社と比較してみたい。一般に自動車業界をはじめメーカーの平均的なレベルは売上高の4~5%であるが、製薬業界やIT業界などはより高く、食品会社などはやや低めの傾向がある。広告宣伝費は、消費財企業の場合は売上高の3~5%程度使っていることが多い。

営業利益率:これは業種によって違いはあるが、一般に日本企業・海外企業を問わず、優良企業は10%程度の営業利益率を確保していることが多い。10%程度はあるか、業界のトップレベルと比較してどうかは確認したい。

その他の費用:預金の受取利息や、借入金や社債の支払利息といった財務関係の損益と、災害や事業整理などによる臨時異常な損益である。海外ではこれが一緒に集計されていることも多いが、日本では、財務関係は営業外損益として、臨時異常なものは特別損益として区部して集計されている。ここでは、財務関係の損益が借入金・社債の金利が大きいため大きなマイナスとなっていないか、また、事業に関係する臨時異常な損失が多額に出ていないか、といった点を確認することが重要だ。

 その上で、税金等調整前当期純利益が計算され、さらに法人税等が差し引かれて最後の当期純利益が集計されていく。当期純利益はまさに株主にとっての儲けなので、その水準には注目する必要がある。