(3)行動をルーチン化する

 仕事におけるストレスの主な原因を訊かれたら、多くの人は締め切りや仕事量、組織の官僚体質、嫌な上司などを挙げることだろう。しかし、「判断すべきことが多すぎる」と答える人は少ないかもしれない。

 あまり知られていないが、実はこれは、私たちの生活における大きなストレスの原因である。意思決定が必要な場面――従業員を雇う、上司との打ち合わせのスケジュールを決める、卵サラダ・サンドイッチのパンをライ麦にするか全粒粉にするかを選ぶなど――を迎えるたびに、精神的な緊張状態が生まれ、それがストレスになる(関連論文)。

 ちなみに、買い物が疲れるのはこれが理由だ。不快なコンクリートの床のせいではなく、「判断」が必要となるためである。

 この問題を回避するためには、ルーチンを利用して判断すべきことの数を減らすとよい。毎日やる作業があったら、それを毎日同じ時刻にやろう。毎朝その日の準備をしたり、帰宅の支度をする時に、それらの作業を組み込んでもよい。

 単純なルーチンをいくつも設けることで、ストレスを大幅に軽減できる。ストレスには事欠かないオバマ大統領は2012年のインタビューで、ルーチンの実践に言及している。

「日常生活で直面する問題によって、有意義な時間が奪われる――これを防ぐ必要があります。(中略)ご覧の通り、私はグレーかブルーのスーツしか着ません。判断の数をできるだけ減らしたいのです。食べ物や着るものにいちいち迷いたくはありません。判断事項は他に山ほどあるのですから。意思決定に費やすエネルギーを、大切なところに集中させる必要があります。だからルーチン化するべきです。些細なことで気が散っていては、1日を乗り切ることはできません」(オバマ大統領、『バニティ・フェア』誌より)

(4)「おもしろい」と感じる行為を5~10分やる

 自動車のエンジンに取り付けて100マイル(約160キロ)運転したら、タンクのガソリンが走行前より増えている――そんな装置があったら使いたくなるだろう。いまのところ、そのような自動車製品は存在しないが、自分自身に同じ効果を生む方法はある。おもしろいと感じる行為をするのだ。

 興味をかき立てられることなら何でもよい。最近の研究によれば、興味・関心は疲労と無関係に取り組みを持続させるだけでなく、エネルギーを「補給」してくれる(関連論文)。そうして湧き上がった活力は、次に行う別のことにも引き続き注がれる。

 ここで大切なポイントが2つある。第一に、おもしろいというのは、心地よい、楽しい、のんびりできる、などと同じではない(もちろん両立は可能だ)。ランチ休憩を取ればリラックスできるし、食事がおいしければ心地よいだろう。しかし、たとえば斬新な分子調理法で話題のレストランで食べるぐらいでなければ特におもしろいとはいえず、新たな活力が湧き上がることもない(分子調理法とは、物理学や化学を料理に適用して、味や食感を変化させる手法)。

 第二に、おもしろいとは必ずしも「努力がいらない」ということではない。興味・関心と活力に関する研究がもう1つ明らかにしたのは、おもしろい作業が困難で努力を要するものであっても、同じ効果があるということだ。したがって、楽をすればエネルギーを補給できるとは限らない。