そして質問の焦点を、売上げではなく次のように変えた。「2020年までに、1000万人の小規模事業主をアクティブな顧客として獲得し、満足させ、それが複数の方法で収益化につながるようにするにはどうすべきか?」。するとチームはグランド・チャレンジに対する認識をがらりと変え、まったく別の方法でアプローチするようになった。問い直しをする前は、インテュイットの会計ソフト〈クイックブック・オンライン〉の顧客は5カ国にしかいなかった。いまではアメリカ国外に3万7000の有料利用者がおり、それ以外にこの製品に何らかの形で触れている顧客が160カ国に存在する。平均すると、この製品の利用者は世界のどこかで1分間に1人の割合で増えている。

問いかけの文化(question-centric culture)を創造する

 積極的な問いかけは創造的なリーダーを育むが、組織全体を創造的にするとは限らない。経営幹部は、イノベーションに安心して取り組める場所を創造し支援する必要がある。そうすれば未来の意思決定者たちによって、企業が存続する限り創意工夫の精神が発揮される。自社を「創業30年のスタートアップ企業」と称するクックはこれを見事に実践し、最先端の革新的なアイデアの数々を10億ドル規模の事業に反映させている。

 問いかけの価値を組織全体に根付かせるため、クックとスミスは「学び、教える文化」を活用した。従業員による挑戦的な問いの提起を歓迎し、継続的な実験を通してその答えを見つけることを奨励する文化だ。スミスによれば、こうした問いかけの姿勢を取締役会で誘発するには、目の前のテーマについて共通の理解を確立しておくことが重要であるという。また、上級幹部であることの権威を利用し、会議の最後まで待って質問する、あるいは会話を進めさせるために質問するなどでもよい。

 興味深いことに、インテュイットのリーダーたちはいつも会議の終わりに、仲間のチームメンバーに「最大の学びは何だったか」と尋ねる。この質問によって社風がしばしば浮き彫りになるため、組織が規則的になりすぎるのを防ぐ役に立つという。

グランド・チャレンジを探そう

 スミスの話を参考に、あなたも自身のグランド・チャレンジを見つけるために、問いかけをすることをお勧めしたい。途中で思わず立ち止まって、心臓の鼓動が速くなるような目標を探すのだ。適切な問いを見つければ、最終的には適切な答えを見つけることができる。それがやがて、あなたの財産となるかもしれない。

 スミスは言う。「人はみな、自分より大きいものの一部になりたいと思っているはずです。また、足跡を残したい、世界にインパクトを与えたい、記憶に残りたい、と思っているはずです」

 では、あなたのグランド・チャレンジは何だろうか。そしてより重要なこととして、それを成し遂げるための問いは何だろうか。

 

HBR.ORG原文:How Intuit Innovates by Challenging Itself February 6, 2014

■こちらの記事もおすすめします
自社の成長を加速させるための、3つの問い
ビッグデータ時代のマネジャーに求められる、「データを伝える力」
たった1つの問いがあなたを変える
「取り調べ型」の問いかけが、部下の意欲と創造性を殺す

 

ハル・グレガーセン(Hal Gregersen)
INSEADのアブダビ・コマーシャル・バンク記念講座教授。イノベーション論とリーダーシップ論を担当。共著書に『イノベーションのDNA』などがある。質問力の向上を支援する4-24プロジェクトの創設者。