●グランド・チャレンジ1:10分で確定申告

 20年もの間、クックは10分間で確定申告書の作成ができるようにすることを夢見ていたが、まだ実現していなかった。

 スミスはCEOに就任した時、インテュイットの事業をパッケージ・ソフトからクラウド型サービスに転換させようと心に決めていた。「ソーシャルで、モバイルの、グローバルな」サービスだ。スミスは〈ターボタックス〉(納税用ソフトウェア)のチームに会いに行き、このビジョンについて話した。すると1人のエンジニアが彼に率直に尋ねた。「携帯電話がどう確定申告と関係があるんですか?」スミスはこの問いに価値を見出し、チームにモバイルと納税のつながりを見出すよう促した。

 1年半が経つ頃、チームはその答えにたどり着いた。iPhoneのカメラを使って申告書類を写真に撮り、コンピューターにデータを読み込ませて申告書全体を自動的に記入することで、申告書の作成を10分未満で終わらせるという方法だった。このアプリはいまや、ターボタックスの〈スナップ・タックス〉として知られている。これまでとまったく異なる問いかけをする、というシンプルな方法がきっかけとなった好例だ。

●グランド・チャレンジ2:2020年までに、1000万人の小規模事業主をアクティブな顧客として獲得し満足させる

 クックはインテュイットを30年前に創業し、人々の生活を向上させることに心血を注いできた。したがって同社のすべての業務において、エンドユーザーを喜ばせることが最も優先されていた。

「インテュイットとはどんな企業なのか」――クックは語った。「我々は、最も重要な未解決の大問題を明らかにするためにいる。我々のミッションは、人々の生活を元に戻れないほど大きく改善することだ」

 しかし、スミスが上級幹部に「2020年までに、売上げの20%を海外から獲得するにはどうしたらよいか」と尋ねた時、彼らは顧客との関連からではなく財務計画の面から答えてきた。4年が経ち、スミスは自分自身を振り返って、間違った質問をしてきたことに気がついた。

「私はいつも業績について尋ねる時、もっと顧客志向の答えが返ってくることを望んでいたのです。しかしそれが得られなかったのは、私が尋ね続けてきた質問に問題があったからです。リーダーが尋ねる問いが会社の雰囲気や方向性を決めることを、私は認めなければなりませんでした。我々はリーダーとして、誰もがそうなりたいと望むようなイメージを見せるか、あるいは人の能力や望みを覆ってしまうような暗い影を投げかけるか、2つに1つなのです」