次に、「この会議を成功させなければならない」と信じてしまった。出欠を選べることは理論上わかってはいたが、気持ちとしては選択肢はなかった。誤った思い込みが、実際には選べたはずの多くの選択肢を心理的にはねのけてしまったのだ。

 答えが「ノー」であるべきと知りながら「イエス」と答えてしまう、この過ちを避けるためには何ができるだろうか。

1.決断を人間関係から切り離して考える
 意思決定と人間関係は、時として密接に結びついているように見える。だから私たちは、両者が異なる問題であり、答えは別々にあるのだということを忘れてしまう。意識して2つの問いに分けることによって、より自覚的な選択を行うことができる。まずは「正しい決断は何か」に答えを出すこと。その後、「この決断をできるだけ誠意をもって伝えるにはどうしたらよいか」の答えを見つけるとよい。

2.「~しなければならない」を、「~することを選ぶ」と言い換える
「この電話に出なければならない」、「この仕事を見届けねば」、「このクライアントとの会議に出なければならない」などと言う時はいつも、その行為が譲れないものであることを前提としている。そこで来週は、「~しなければならない」という言葉をやめて「~を選ぶ」と言い換えてみよう。最初は少し奇妙に感じるだろうし、場合によっては苦痛に思うことすらある(本当は優先順位の低い事項を選んでいる場合など)。しかしやがて、この言葉を使うたびに「自分は選択をしているのだ」と気づくため、別の選択を可能にしてくれる。

3.あなたの優先事項を理解しない人との仕事を避ける
 短絡的だと思われるかもしれないが、これこそが真に自由をもたらすルールなのだ。あなたの価値観に共感してくれる人は存在する。その人たちがいれば、あなたが優先事項に沿って生きるのはごく自然なこととなる。職場でその状況を見出すのには時間がかかるかもしれないが、これを目標にして進路を定めることはすぐにでもできる。

「ノー」と言うべき時に「イエス」と言ってしまうことは、その時点では小さなことのように思える。しかしこのような妥協が積み重なれば、後悔だらけの人生となりかねない。事実、こんな話がある。オーストラリアの看護師ブロニー・ウェアは、人生最後の12週間を過ごす患者たちの世話をしながら、死の床でよく語られる後悔を書き留めてきた。最も多かった後悔は、「他人が私に期待する人生ではなく、自分に正直な人生を生きればよかった」。続いて多かったのは、「こんなに働きすぎなければよかった」、そして「思い切って自分の気持ちを伝えればよかった」であった。(後悔のトップ5のうち、残る2つは「友達との親交を続けていればよかった」、そして「もっと幸せを求めればよかった」。ウェアは『死ぬ瞬間の5つの後悔』〈邦訳2012年、新潮社〉の著者)。

 ガンジーと同じレベルの勇敢さを直ちに発揮することはできないかもしれない。しかし私たちにも、人生を振り返って他人の優先順位に従って生きてしまったと後悔するよりは、もっとよい生き方ができるのは確かである。


HBR.ORG原文:If You Don't Prioritize Your Life, Someone Else Will June 28, 2012

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グレッグ・マキューン(Greg McKeown)
シリコンバレーでリーダーシップと戦略のアドバイスを行うTHIS Inc.のCEO。2012年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダー」に選出された。著書にはEssentialism: The Disciplined Pursuit of LessおよびMultipliers: How the Best Leaders Make Everyone Smarterがあり、ともにベストセラー。