3.競合企業に関するインサイト:競合企業の強みと弱みを観察し、理解し、それに対応しているか

 ヴァージン・グループは、金融サービスやラジオ局、気球旅行などさまざまな事業に進出しているが、これは既存プレーヤーの戦略と能力を徹底的に研究したうえでの深い洞察に基づいている。同社は「ベーシックな部分を充実させ、そこにちょっとした魔法を加える」ことを基本としており、顧客にfun(楽しさ)という選択肢を提案して競合との差別化を図っている。

4.競合企業に関する先見性:顧客に関する意思決定を行う際に、潜在的な競合企業を考慮しているか

 顧客中心主義を代表する企業アマゾンには、競合に関する優れた先見性がある。プラットフォームを解放して新興の競合企業に使わせ、既存であれ新規であれ、競合による新たな価値提案を阻止しているのだ。たとえば、アマゾンはタブレット市場におけるアップルの潜在的脅威を認識していた。アップルは音楽の時と同じことを電子書籍でもやろうとしていた。つまり、読むためのデバイス〈iPad〉の提供と、iBookstoreを通じたコンテンツの提供である。しかし、アマゾンはその先見性によって〈キンドル〉を開発し、電子書籍のコンテンツとデバイスの両方で優位に立つことを狙った。

5.周辺への目配り:従業員は、外部環境において脅威と機会を認識しそれを発信するよう強く奨励されているか

 グーグルの「周辺への目配り」は、〈グーグルグラス〉に象徴されている。この最先端の技術イノベーションは、社内で生まれたアイデアに加え、外部の開発パートナーとの協力と企業買収を通して具現化された。

6.部門の枠を超えた協働:顧客の問題を解決してよりよいサービスを提供するために、従業員は部門の枠を超えて協力し合っているか

 スウェーデンのイケアは、企業ビジョン、価値観、戦略に協力の精神を組み込んでいる。協力できない従業員は、たとえ優れたパフォーマンスをあげていても解雇される。採用においても、優先されるのは協力して仕事ができるかであり、能力は二の次である。

7.戦略の共有:従業員は会社のビジョン、価値観、戦略を十分に理解し、受け入れているか

 オーストラリアの金融大手ウエストパック銀行は、新たなビジョンとして「顧客に喜びを提供する」を掲げた時、言うは易く行うは難しであると気づいた。そこで同社は「顧客」を企業理念に組み込み、顧客の支持とロイヤルティを測定し獲得する仕組みを開発、顧客により丁寧な対応ができるよう従業員をトレーニングし、報酬体系を顧客満足に連動させた。ビジョンと戦略を共有し確実に実行するためには、これらのすべてが必要だったのである。

 顧客中心の文化は、ヒトの呼吸と同じくらい企業の業績にとって不可欠なものだ。どんな業界であろうと、それは会社の生命力となる。その測定方法と業績へのインパクトを知ることが、成功へのカギとなるのだ。


HBR.ORG原文:Diagnose Your Customer Culture January 17, 2014

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リンデン・R・ブラウン(Linden R. Brown)
マーケットカルチャー・ストラテジーズの会長兼共同創設者。同社はシリコンバレーを拠点とし、企業における顧客中心の文化のレベル測定と、それに伴うリスクと機会に関するアドバイスを行っている。フィリップ・コトラー著の教科書、Marketingの第9版に共著者として名を連ねる。

クリス・L・ブラウン(Chris L. Brown)
シリコンバレーを拠点とする経営コンサルティング会社、マーケットカルチャー・ストラテジーズのCEO。ヒューレット・パッカードの元マーケティング・ディレクター。過去10年の間にIBM、PwC、3M、ブラックロック、シェブロンを含む「フォーチュン500」企業の経営陣にコンサルティングを行ってきた。