典型的な例がサウスウエスト航空である。ハーブ・ケレハーのリーダーシップの下、同社はユーモアのセンスや気取らない態度、従業員を大切にすることで知られるようになった。この独自のアイデンティティにより、利用客に楽しい経験を供すると同時に、従業員の生産性も上がった。たとえば運航の合間に機内の清掃を行うのは、清掃スタッフではなく客室常務員だ。それにより搭乗ゲートに待機する時間が減り、定時運行が増えた。整備担当者は、同社が保有するボーイング737型機のメンテナンス方法を日常的に改善し、コストの低下と稼働時間の向上に貢献した。こうして同社の戦略において重要な要素(コストの抑制など)が強化された結果、同社は世界最大の低価格航空会社となり、最も高い収益力を誇っている。

 ただし、企業文化とは独自のアイデンティティにとどまらない。卓越した業績を上げている企業は全般に、戦略に合致し、望ましい従業員の行動を強化するような特性をいくつか備えていた。我々の研究では次の7つの特性が見つかった。

1. 誠実さ
 従業員や顧客、サプライヤーを含むあらゆるステークホルダーと、誠実に関わり合う。

2. 業績の重視
 報酬や育成などの人材マネジメントの手法が、業績の推進に結びつくようになっている。

3. 説明責任と当事者意識
 役割や責任、権限が、仕事や結果に対する当事者意識を強化している。

4. コラボレーション
 最高のアイデアは、個人間やチーム間で意見が交換され共有されることから生まれる、と認識されている。

5. 機敏さと順応性
 必要な時には素早く方向転換ができ、外部環境の変化に適応することができる。

6. 革新性
 従業員は既成の枠組みを超えて、新たな考え方をする。

7. 勝利への集中
 大いなる野心が共有されている。成功の指標は客観的なものであり、競合との比較に基づくか、卓越性の絶対的基準に挑戦するものである。

 以上7つの特性をすべて備えることは困難だが、高業績企業はたいてい3つか4つの特性を持ち、それらが成功に不可欠となっている。

 フォードを例に取ろう。2006年にアラン・ムラーリーがCEOに就任した際、同社は地域別の縦割り組織で運営されており、ヨーロッパの〈フォード・フォーカス〉は南北アメリカと異なるものだった。ブランドは数が多すぎ、プラットフォームも部品もサプライヤーも多すぎた。ムラーリーは同社を立て直すため、「ひとつのフォード」を築くことに注力した。一致協力と革新、そして(再び)勝つことへの熱望を基盤にしたリーダーシップの確立を目指したのである。

 やがて同社のリーダーたちは、グローバル規模で組織を簡素化し効率化するために協力するようになった。ブランドを合理化し、設計のプラットフォームを統合し、オプションや部品を共通化し、より革新的なデザインを投入した。わずか3年で、フォードは市場シェアと利益の減少を拡大に転換した。

 組織文化は業績の向上に不可欠な役割を果たす。勝利に結びつく文化は、業績を明確な成果として扱う。そして従業員にとってだけでなく、顧客やサプライヤー、もちろん株主にとっても最高の結果につながる環境を生むのである。


HBR.ORG原文:The Defining Elements of a Winning Culture December 19, 2013

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マイケル・C・マンキンズ(Michael C. Mankins)
ベイン・アンド・カンパニーのパートナー。サンフランシスコを拠点とし、南北アメリカにおける組織プラクティス支援を率いる。