では、メタボの潜在患者のボトルネックについて考えてみます。

 彼らは、TVや新聞・雑誌・webなどのメディアを通してメタボ予防の重要性を喚起する情報にたくさん触れていたはずです。また、メタボ検診によって自分がメタボ患者であることも認識していました。それでも、行動しないのはなぜでしょうか?

 その理由の1つが「過去の挫折体験」です。不摂生がもとで肥満になった人はたいてい何回かの“ダイエット失敗経験”を持っています。市場には食品やサプリメントから、トレーニングジムまで、ダイエット関連商品やサービスが数多く存在します。消費者はそのなかからいくつかの商品やサービスに手を出し、そのたびに挫折経験を繰り返してきました。こうした挫折の記憶を抱えたメタボ潜在患者は、生活習慣を変えダイエットを「続ける」ことは自分には向いていない、と心の底で思っています。自分には合わないと思っている人たちを行動までもっていくためには大きなハードルを越えなければなりません。

 メタボ市場には消費者ターゲットの意識のなかに見えざる高い壁があったのです。

 

行動を促した2つの「保証」

 では、メタボ市場にブルーオーシャンは存在しないのでしょうか?

 思うような結果のでないメタボ市場において、成功しているスポーツジムがあります。

 どのように「意識」と「行動」のギャップを乗り越えたのでしょうか。

 このスポーツジムのサービスの特徴は、会員への保証です。その1つが返金制度。入会から1カ月以内でサービス内容に納得できない場合、全額返金してもらえるのです。このジムに入会する人のほとんどが、他のダイエット方法を試して失敗を繰り返した経験をもっています。5万円の入会金と基本コースの利用料約30万円は、入会を検討する人には、相当なハードルといえます。返金制度は入会を決めるインセンティブになっているのです。

 もう1つがトレーニングを継続するための、きめ細かなサポートです。実はどんな方法にしろ、ダイエットに失敗するのは「継続」できないからです。1人では続かないダイエットを、運動と食事に関するマンツーマン指導によって目標を達成するまで後押しするのがこのスポーツジムのもう1つの特徴です。前述したターゲットの意識にある「今回も継続できないだろう」というボトルネックを、独自の「見守り」指導の訴求で払しょくしたからこそ、入会につながったのです。

消費者のボトルネックを解消したこのスポーツジムは、高価格を維持しながら顧客を増やすという「ブルーオーシャン戦略」のビジネスモデルを実現したといえます。