一方事業会社での実務経験のあるメンバーがこのプラニングチームのリーダーを務めていたC社は、メーカーのビジネスプロセスを十分に理解していたのです。

 これが、ビジネスにおける意思決定の現実です。

価値のヒントは社内にある

 新商品のアイデアがあり、新市場の可能性を見出したとしても、現実的に製品としてそれを作ることができなければ意味がありません。

 企業によっても進め方は異なりますが、商品開発担当者は、早い段階から研究開発部門や製造部門と連携をして、新商品のコンセプトやアイデアを議論し、試作を繰り返し作りながら検討を重ねます。自社の技術だけでは難しい場合には、外部の専門家や研究者と共同開発によって、この壁を乗り越えられることもあります。

 商品ありきの「プロダクトアウト型」ではなく、消費者がどんなものを求めているか「マーケットイン」の思考をすることが基本ではありますが、時に研究開発部門に長年蓄積されたデータや、開発されたばかりの技術に、新商品コンセプトにつながる「提供価値」のヒントが隠れているケースもあります。その「価値」を見出し、価値を活かせるようなマーケティング・ストーリーの仮説を立て、チューニングしながら進めていくことが必要なのです。

価値を最大化させるための、社内プロセス

 そしてコンセプトに合った商品のプロトタイプ(試作品)ができたとしても、実際に「商品化」するためには製造部門との連携がとても重要です。冒頭の例でも言及しましたが、商品化するためには、ラインの空き状況や稼働率、原料調達や原価率の試算など、様々な調整をする必要があります。そのため、なるべく早い段階から連携することが必須ですが、そこにはもうひとつ大事な理由があります。

 この連載で何度か繰り返しお話していますが、マーケティングは消費者を中心に多くのステークホルダーとの調整・チューニングをしながら進めていく作業です。チューニングをするということは、商品設計においても、変更が生じる可能性があるということです。

 自宅で簡単にジュースやスープができる「ジューサー」を例にお話ししましょう。あるメーカーでは、拡大するジューサー市場で需要を獲得しようと、新商品の企画を進めていました。

 コンセプトは、「野菜の栄養素を丸ごと手軽に摂れるジューサー」です。金属刃を使った高速回転型のものではなく、野菜の繊維質を壊さない低速圧縮絞方式で、試行錯誤を重ね、価値を最大に提供できるデザイン・機能を備えたプロダクトを作りました。また同時に、社内外のステークホルダーみんながwin‐winになるようなマーケティング・ストーリーをチューニングし、準備をしていました。