目標を達成できなかった時(たとえば、重要なプレゼンテーションが首尾よくできなかった時)、あなたは刑事になる(ほとんど無意識に)。そして失敗をもたらしたお馴染みの容疑者たちを思い浮かべる――生得的な能力の欠如、努力不足、準備不足、作戦の誤り、不運、等々。これらの容疑者のうち、私たちが最も頻繁にクロだと考えるのは、「生得的な能力の欠如」である。アガサ・クリスティの小説で皆に責められる執事のようなものだ。西欧諸国(特にアメリカ)では、あらゆる成功や失敗の原因として最も多く語られるのが「生得的能力」なのだ。

 問題は、科学者たちが過去30年にわたるモチベーションと目標達成の研究を通じて集めてきた証拠を見ると、成功にせよ失敗にせよ、生得的能力が原因であることは稀だということだ。あなたも失敗を能力の欠如のせいにしてきたのなら、気を悪くする必要はない。誰もがそうしてきたのだ。そもそも執事は怪しく見えるものだ。でも今後は考えを改めるべきだ。

 パフォーマンスを改善したいなら、正しい原因を突き止める必要がある。どこで間違えたのかを示す、しっかりした証拠がいる。残念ながら、この種の証拠は通常、意識上に現れるものではないので、自己診断は事実上不可能である。正しい答えを見つけるには人の手を借りなくてはならない。

 幸いなことに、こうした診断は基本的に、我々のような実験系心理学者(特に社会心理学や認知心理学、消費者心理学の専門家)が生活のためにやっていることである。意識の表面下で実際には何が起きているのかを突き止めるための、適切な質問を心得ているのだ。もし安直に「なぜ昇進できなかったのですか」とか、「同僚と上手くやれないのはなぜですか」とか、「あと15ポンド(6.8キロ)減量できそうにないと思うのはどうしてですか」などと尋ねたなら、返事はたいてい決まっている――「自分にはそういう才能がないから」。この答えが間違いであることはすでに述べた通りだ。

 しかし身近に心理学者がいなかったり、360度評価を受ける機会がなかったり、上司や同僚から十分にフィードバックを受けていない場合はどうすればよいだろうか。

 私はこの連載にNine Things Successful People Do Differently (「目標達成の極意:行動力が変わる9つのコツ」)」と題する記事を書いた(これはハーバード・ビジネス・プレスの電子書籍にもなっている)。以降、読者から「各項目を十分にできているかどうか、どうやって知ればいいのですか」と尋ねるメールが少なからず届くようになった。本当に現実的な楽観主義者になれたか、自分の取り組みは十分に具体的か、意志の力は十分強くなったかを、どうやって知ればよいのか。もっともな質問だ。この場合もやはり、自己診断は非常に難しい――そして明確な答えを得なければ、向上は望めない。そこで最近、私はオンラインのNine Things Diagnostic(9項目診断)というものをつくってみた。クリックするだけで回答できる質問を集めたもので、「9つのコツ」のうちどれに注力すべきか、どれはクリアしているか、ただちにフィードバックを(無料で)得ることができる(英文の診断ページはこちら)。

 しかし自分の弱点を知るために、必ずしも私の診断法を用いる必要はない。大切なのは、(信頼できる)フィードバックを必ず得るということだ。独力で自分のすべてを理解することは無理だ。直感だけに頼った自己診断は危険である。「適応的無意識」という特性のおかげで、直感は当てずっぽうと同じくらい正しくないのだから。


HBR.ORG原文:You Are (Probably) Wrong About You July 30, 2012

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ハイディ・グラント・ハルバーソン
(Heidi Grant Halvorson)

コロンビア大学ビジネススクールのモチベーション・サイエンス・センターの共同ディレクター。