ところが、シェアトップのA社が徹底的に競合を排除する戦略をとり、その結果B社とC社はその市場から撤退しました。競合ブランドを排除でき、A社の戦略が功を奏したと思いきや、しばらくしてA社の製品の売り上げが一気に下がってしまったのです。一体何が原因でそのような事態になったのでしょうか?

 B社とC社の商品がなくなると、コンビニやスーパーの目立つ売り場につくられていた低カロリー菓子というカテゴリー棚が消えてしまいました。その結果A社の製品は菓子売り場の片隅に置かれて売り場での存在感が急激に薄れてしまいました。売り場でのプレゼンスが低下しメディア報道や3社のマス広告やキャンペーンが行われなくなると、消費者の興味も一気に薄れてしまったのです。

 このケースから読み取れるのは製品と売り場(流通)、世の中(メディア)が一体化して作られた新市場“低カロリー菓子”登場というストーリーが消費者に定着する前に功を焦ったA社がカテゴリー形成のために大事な役割を担っていたB社、C社という役者を排除してしまったことで、素敵なドラマのストーリーが消滅し、いつの間にかスケールの小さいつまらない一人芝居になってしまい、気がつくと観客がいなくなってしまったということなのです。

 このケースでは、競合も役者の一人として、マーケティング・ストーリーを盛り上げていたのです。消費者にとっては、カテゴリー認知が先にあり、商品単品ではなかなか商品認知が進まないのです。

 マーケティングは企業と消費者との間だけで成り立っているのではありません。さまざまなステークホルダーが関与して消費者のなかに購買行動につながるストーリーが形づくられていきます。

 消費者に影響を与えるステークホルダー全体を俯瞰して、全てがwin‐winの関係を結ぶことができる骨太のストーリーを描くことは、売れ続ける仕組みをつくるための基本設計図を作ることであり、マーケティングにダイナミズムを生み出すコンテンツを生み出すことなのです。

 しかし、ステークホルダーは社外の関係者だけではなく、社内のプレイヤーの存在も忘れてはなりません。次回、詳しく解説します。

 

【連載バックナンバー】
第1回 売れ続けるために必要なのは、マーケティング・ストーリー
第2回 消費者の「欲しい」と「買う」には大きな隔たりがある