――では、アイデアはどのように生み出しているのでしょうか。

 斬新な発想力が必要なのではありません。新橋の居酒屋でおじさんたちが飲みながら、こんなのがあったらいいのになと言っている。僕らはそういったものを具現化しているに過ぎないと思っています。あると便利だな、と思うものをすぐに作ってみるのです。

 Facebookのコミュニティは、世界各地の飲み屋を同時多発的にリンクしているものともいえます。たとえば日本のある業種のコミュニティと、アメリカのある業種のコミュニティで繰り広げられる会話の中には、同じようなニーズが出てくることも多いはずです。

 世の中はニッチなコミュニティの集合体になっており、それがインターネットを通じてリンクしています。それを見に行けば、どういったものが受けるのかも見えてきやすい。僕らはシーズオリエンテッドで動いています。技術的には出来るけれども、ニーズがあるのかなという時にはそういったコミュニティで聞いてみればいいだけです。各国で「いいね」と言われると、じゃあやってみようとなる。さらに、いざ売り出した際には、それらのコミュニティの人たちに情報を落とせば、興味を持ってもらえます。

 Facebookやツイッターなどソーシャルメディアが普及したことで、口コミが広まりやすくなり、僕らのような製品が世界で売りやくなっているのです。

――ものづくりの環境だけでなく、売れる環境も整ったということですね。

 ソーシャルメディアが普及し、ニッチなコミュニティが誕生する。そしてニッチなハードウエアの需要爆発し、世界でEC(電子商取引)が普及する。その状況にメディアとディストリビューターがキャッチアップしてくる、という順で環境は整ったと思います。

 ハードウエアを中心に取り上げるメディアの方も、いまや日本だけを見ることはありません。世界の様々な場所に面白い製品が存在していて、その製品をいち早く紹介しようとしています。極端ですが、iPhoneの発売が決まったら、日本発売の時期が未定でも、まずはニュースとして取り上げなければ、メディアとして成り立っていかない時代になりました。そのようなことが世界各国のメディア全体に起こっており、海外のメディアも日本やアジアの製品に目を光らせるようになっています。

 ディストリビューターも海外の良い製品をいち早く仕入れて販売すれば、利益につながることが多々あります。いち早く輸入して、小売店に提案できるディストリビューターが、いまは力を持ってきています。

 私たちが特殊なやり方を考えたのではなくて、あくまで市場が変化し、規模に関係なく売れる環境が整っている。私たちはそれに合うようなものづくりをしているのかなと思います。