2番目の段階は仕入れや交渉の容易化です。昔は国際電話を掛けるのにも何千円というお金が掛かっていました。しかし今ではスカイプなどを利用し、無料で世界中と交渉が出来ます。さらにチャットだと同時に何人もの人たちと会話することが出来て、よりスピーディーに交渉を進めることも可能です。ウェブチャットなんて2000年くらいからできたよね、と思われるかもしれませんが、大事なことは世界中にある部品メーカー、とくに中国や台湾のメーカーがこのようなツールを導入したことです。どちらも利用できる状態が整ったのは2006年ごろです。

 さらに、3段階目の新技術が安くなったことも大きいです。3Dプリンタが昨年話題になりましたが、あれはワンオブゼムです。オープンウエアのハードウエア、ソフトウエアの登場がとりわけ大きなインパクトがありました。本来であれば10万行のコードを書かなければならなかったようなものが、1000行で済む。ありもののオープンソースのコードを1000行修正するだけで、世の中にないものを生み出せるという環境が整ったのです。

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Cerevoを代表する製品「LiveShell」。PC不要でUstream等に簡単に高画質配信できる、小型映像配信機器。「LiveShell」シリーズは世界で累計1万台前後を売り上げる。

 モジュール化が起き、仕入れや交渉が容易になり、新技術で簡単に安価に物が作れるようになり、組み立てや製造する工場も必要でしょう、ということで工場の数が増えてきます。中国の工場はちょうど私と同じくらいの年齢の人が経営しているところも多いです。工場の数が増えると、競争も激しくなり、より良い取引条件を引出しやすくなっています。

 家電は今、レゴブロックのようになっています。ブロックが1万個ぐらいごろごろしていれば、発想次第でユニークな飛行機をつくったり、車をつくったりできます。レゴブロックがモジュールを指していて、そのモジュールをソフトで繋いであげると、世の中になかったようなものが出来ました、となる。ものづくりを取り巻く状況は大きく変化しています。