アナリティクスで何が変わったか

 そもそもアナリティクスとは、生成・蓄積されたビッグデータを分析することで、未来を予測し、業務効率化や意思決定の精度向上、サービスの高度化に活用していくことを指す。アナリティクス自体は古くから行われているが、利用データによりビジネスへの活用方法が変わりつつあるので、その変遷をご紹介したい。

 1980~90年代は、POS情報を利用した商品調達や、企業の過去実績(ERPデータ、CRMデータ等)を活用したBIツールによる意思決定が主流だったが、1990年代後半に入ると、第3次産業革命(ITとネットワークの革新)の到来により、エンドユーザのWEBログやオープンデータを活用した社内業務の改善やマスマーケティングへの活用が盛んになってきた。

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【図表1】アナリティクス活用データの変遷

 近年では、GPSやWi-Fi等の位置情報、ソーシャルメディアでのコメント、検索エンジンのログ、他社が提供する顧客・購買情報を活用し、マスのトレンドから顧客の個別属性や趣味嗜好の推定に至るまで、サービスの効率化やOne to Oneマーケティングに繋げる取り組みが盛んに行われている(【図表1】参照)。

 今後の進化の方向性としては、センサー機器の小型化や精度向上により、あらゆる物にセンサーが取り付けられることで、そのセンサーデータの活用・組み合わせによる画期的なサービスがより多く生み出されていくことだろう。例えば、カーナビから取得できるプローブデータを活用し、その走行距離や運転行動特性を分析することによって、保険料を柔軟に設定するサービス(一般に「Pay As You Drive」と言われる)が、既に日産リーフを対象に展開されているが、ここに車内センサーによるハンドル操作履歴、ブレーキング頻度・強度、クラクション頻度を組み合わせたらどうだろう? より精緻な運転行動特性が推定できるだけでなく、運転時の心理状態まで手に取るように把握できたとしたら、より最適な保険料の設定が可能になるかもしれない。
 また近年、通信事業者、ITプレーヤーや消費財メーカーが競うようにサービス化しているウェアラブルデバイス型活動量計の展開も目が離せない。ユーザーの日常の活動状況から、各年代・性別におけるライフサイクルを推定するだけでなく、端末の微細な振動や位置情報により、ある時点の感情や思考パターンまで推定できる可能性もある。各企業がこれらを見据え、将来的により精度の高いOne to Oneマーケティングへの活用や、医療・食品業界への販売・参入を目論んでいることは容易に推測できるだろう。

 このように、さまざまなセンサーデータを活用し、これまでアンケートやヒアリングを行わないと取得できなかった、個々の心理学的属性(サイコグラフィック)を推定することが可能になることで、新規サービスの創出や既存サービスの高度化が期待される(【図表2】参照)。

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【図表2】センサーデータ活用による心理学的属性の推定