新興国での起業や事業開拓はやはり、文献を読むよりも、生のニーズを理解するのが大事です。文献は誰かが解説したものを誰かが解釈して、それを翻訳して……といった何重ものフィルターがかかっていて、現実では役に立たないものになっていることがほとんどです。本は置いて、まずは現地に行くことが一番大事なのではないでしょうか。

――新興国に本腰を入れるとなると、組織運営やマネジメントスタイルも変わっていきそうですね。

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手にしているのはソーラーライト。新興国で明かりに使われている灯油のランプは火事の危険と隣り合わせ、煙が有害なうえ、灯油代が高い。この小さなライトで複数の問題を解決できる。

 その予兆が出てきているように思います。最近では、企業のダイバーシティ(多様性)推進室からのコンタクトも増えています。というのも、コペルニクは立ち上げ時にニューヨークで法人登記、現在はインドネシアに拠点を置き、メンバーの国籍は多種多様、また取引先も、NPOやベンチャーから大企業、国際機関まで多岐にわたっています。性別はもちろん、国籍も人種も宗教も違ういろいろな人をつなげてビジネスをしていることに対して、ダイバーシティの面から興味を持っていただいているようです。

 ダイバーシティは日本企業にとっても大きな課題だと思います。すでに数十か国展開している企業からですら、ダイバーシティ・マネジメントについて相談されることがあります。そして最も多いのが「日本人が海外の人とビジネスをするときに、どんなことに気をつければいいでしょうか」といった相談です。やはりみなさんの課題はそこにあるし、どうやって世界中の多国籍チームをマネジメントしていくべきかが大きな問題になっています。

 我々としても、いい関係を構築しながら世界中に最適なテクノロジーが届けていきたいと考えています。現地でのプロジェクトのお手伝いを通じて、そうしたご提案もできればと考えています。

(了)

*中村俊裕さん緊急帰国!『世界を巻き込む。』 刊行記念無料セミナーが3月31日にダイヤモンド社にて開催されます。詳細はこちらから。

米国NPOコペルニク
米国において501(c)(3)として承認された非営利組織。日本では、「一般社団法人コペルニク・ジャパン」として登録。インドネシアでも法人登録している。
途上国の人々の「生活の向上」と「自立」を目指し、革新的なテクノロジーを現地の人々へ届けている。

 

【書籍のご案内】
世界を巻き込む。
誰も思いつかなかった「しくみ」で問題を解決するコペルニクの挑戦
今、全世界から注目を集めているNPOがある。その名は「コペルニク」。 アジア、アフリカの援助すら届かない最貧層(=ラストマイル)へ、現地のニーズに即したシンプルなテクノロジーを届ているグローバルNPOだ。創設者である中村俊裕氏が、国連を辞めてまで起業した経緯から世界的なしくみづくりまでを初めて語る。
46判並製、264頁、定価(本体1500円+税)
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【目次】
はじめに 必要な場所に、必要なものを。
──シンプルなテクノロジーで、世界を変える

第1章 僕が世界の最果てを「現場」とした理由
──24億人以上が抱える問題から目をそむけない
1 「ラストマイル」で生活をするということ
2 シンプルなテクノロジーが、世界を変える

第2章 国連でできたこと、国連ではできなかったこと
──なぜ、ボトムアップが課題解決への近道なのか?
1 スケールの大きな仕事がしたい──憧れの国連
2 ボトムから変えていく、ということ
3 シエラレオネで出会った「ラジオ」のパワー

第3章 いま求められているのは、クリエイティブな「ローテク」
──途上国のニーズをつかむための6つの課題と3つのアプローチ
1 ブルー・オーシャンはどこにあるのか
──ニーズを正しく把握しているか?
2 シンプルなテクノロジーが革新的な理由
──ロースペックだからこそできることとは
3 テクノロジーは、何のためにあるのか?
──インパクトという視点

第4章 憧れの国連を辞めるとき
──技術と現場とお金をつなぐ、三方よしのビジネスモデルで起業するまで
1 コペルニク創業──すべてをつなぐ「しくみ」はどのように生まれたのか?
2 コペルニクのしくみ──顧客、企業や大学、寄付者がみんなハッピーに
3 寄付とファンディングについて

第5章 危機を救ってくれたヒントはすべて「現場」にあった
──企業とNPOのコラボレーションが、新たなイノベーションを起こす
1 進化するコペルニク──なぜ僕はNPOの経営に力を入れるのか?
2 イノベーションの担い手は、企業だけなのか?
3 異分野の交流から、グローバル人材が生まれる
4 「つなぐ」ことこそ僕らの役目──シードコンテストを通じて得た手ごたえ

第6章 日本の「モノづくり」を、世界は待っている
──ボトムアップのアイデアを課題解決と製品づくりに活かす
1 東北にソーラーライトを!──被災地で求められたコペルニク
2 日本企業とコペルニクのパートナーシップ──現地ニーズに根差した製品・サービスを
3 コペルニクが描く未来──ボトムから世界を変えていく