ビジネスモデルはお客様のニーズとイコールである

――良品計画ではどのようにビジネスモデルを変えてきたのでしょうか。

 ビジネスモデルというのはお客様の変化に合わせてつくられる仕組みです。無印良品では商品開発の仕方を変えました。青山に1号店を出した時、30坪に200アイテムを並べてスタートしました。その後、1000坪に7500アイテムをそろえるところまでできました。この時は、まずお店を大きくする。大きくした分だけ商品領域を拡大する必要があるので、新しい商品開発をする、という流れでした。無印良品はプライベート・ブランドでしたので、販売量で商品開発をプルアップしていたのです。これが創業から20年程度続いたビジネスモデルでした。
 しかし1000坪に到達したところで、ただアイテムを増やすだけではお客様の変化に合わせられないと考え、2001年からは商品開発の方法を変えました。Found MUJIやWorld MUJIのように、世界のいいものを探し出したり、世界的なクリエイターとつくるようにして、社会に対する提案ができるような仕組みをつくりました。また、お客様から不満の声をいただいても、それを改良していける仕組みを持つようにしたため、「これがいい」ではなく「これでいい」を目指すことができました。素材も天然繊維中心から化学繊維にも広げ、ものづくりの仕組みを変えました。これらもビジネスモデルの変化でしょう。

 いまは「くらしの良品研究所」というお客様の意見から商品を開発する仕組みを持っています。また一般家庭にお邪魔して、ありのままの生活空間を観察し、そこから皆が気づかないようなものを見つけ出す、オブザベーションという研究も進めています。たとえば収納はベッド下か空間か壁しかない。それで「壁に付けられる家具」を開発して、壁面を有効活用しよう、となるのです。このようにシーズからニーズを発見し、開発に繋げられるよう、モノのつくり方を変えていかなければなりません。

 ビジネスモデルはお客様のニーズとイコールです。お客様が変わればビジネスモデルは変わる。ビジネスモデルが変わるためには、できるだけ早い時期に既存のビジネスモデルを補強して、延命しなければなりません。

――一般的に実店舗のショールーム化など、オンライン・ショッピングの発達によって購買チャネルの変化も見られます。ビジネスモデルにはどのような影響があるでしょうか。

 これもお客様の変化と全く同じ考え方です。変化したなら変えていく必要があります。無印良品でもネット販売は10%の年間成長を見せています。家具などは店に行かなくても理解できますから、ネットで購入した方が早いのは道理です。さらにWEBサイトを見に来る方の半分はスマホで閲覧しておられますので、店頭販売のあり方も変えていく必要があります。スマホで少し操作するだけで、モノが買える仕組みをつくっていかなければなりません。ただネットで購入しても、現実には物流というボトルネックがあります。最終的にはこの物流の仕組みも変えなければいけません。ここをうまく変えたのがアマゾンです。
 一方で、情報はネットで見て商品は店舗で見るという行動も生まれています。それによって実店舗とネットの整合性が非常に重要な意味を持つようになりました。ネットとリアルをうまく組み合わせた仕組みを考える必要があります。旧来の小売業はこうした世の中の流れに抵抗していますが、流れに逆らって勝った企業などありません。逆らっても意味がないのですから、さっさと時代に合った仕組みをつくる方が、圧倒的に有利です。

 ビジネスモデルを考えた時、こうした変化をいかに取り入れるかが重要な視点となりますが、ネットの普及による変化は、今までのライバル企業が仕掛けてきた変化と大きな違いはありません。お客様の変化を読む力があれば、ビジネスモデルは変えられるのです。(後編に続く)