アマゾンは、ビジネスモデルを革新し続ける最も優れた企業として、世界に範を示している。その中核を成し、超効率的なサプライチェーンを持つ電子商取引のモデルは、小売業の世界を一変させた。同社はその後、連続して3つの破壊的なビジネスモデルを立ち上げている。会員制の「アマゾン・プライム」は現在、10億ドル近い収益を生みだしている。電子書籍〈キンドル〉のプラットフォームでは、機器を低価格で販売し、コンテンツで大きな収入を得ている。そして「アマゾン・ウェブ・サービス」事業では、自社の優れた技術を活用して強力なクラウド・コンピューティングのサービスを展開し、数十億ドル規模のビジネスを確立した。

 では、4誌のランキングすべてに入った第三の企業はどこだろうか。韓国のサムスン(3誌)だと言う人もいれば、日本のトヨタ(2誌)、中国のファーウェイ(華為技術)(興味深いことに、どこにも入らず)、またアリババ(やはり衝撃的なことに、どこにも該当せず)と答えた人もいる。これら2社の国は合っているが、正解は中国のインターネット・サービス会社テンセント(騰訊控股)だ。

 アジア以外ではまだ比較的無名なテンセントだが、このまま劇的な成長が続けば、そうでなくなるのも時間の問題だろう。その中核事業は、インスタントメッセージ・サービスの〈QQ〉とショートメッセージ・サービスの〈WeChat〉で、とくに興味深いものではない。しかし、そのビジネスモデルは競合他社のそれとは一線を画す。幅広い利用者を獲得して広告収入に結びつけるのではなく、少額取引によって数十億ドル規模のビジネスを築いているのだ。

 たとえばチャットサービスに表示されるアバターの外見を、有償でアップグレードさせるなどである。数億件単位の少額取引が積もり積もって同社に爆発的な成長をもたらしているのだ。エコノミスト誌の最近の記事に掲載されたグラフが、すべてを物語っている。バイドゥ(百度)やグーグル、フェイスブックのようなインターネットの世界的大手は、売上高の80%以上を広告収入が占めている。テンセントはこのモデルを覆し、年間売上高70億ドルの約80%を付加価値サービスから得ている。

 我々イノサイトの調査によれば、ビジネスモデルのイノベーションこそが爆発的成長への近道である。当社のマーク・ジョンソンが著書『ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの〈空白〉を狙え』(邦訳は阪急コミュニケーションズ)の中で指摘したように、創立25周年を迎える前に「フォーチュン500」に名を連ねた比較的新しい企業(アマゾン、スターバックス、自動車販売大手のオートネーションなど)の半数以上が、ビジネスモデルのイノベーターだ。

 斬新な技術や見事なマーケティングに心奪われるのは簡単だが、明日に成功する成長企業を本当に見極めようと思うなら、価値の創造、獲得、提供に関するユニークな方法を考え出したイノベーター企業に注目すべきだ。それが長期的成功への最良の策であることを、歴史が示している。


HBR.ORG原文:The Three Most Innovative Companies of 2013 December 31, 2013

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スコット・アンソニー(Scott Anthony)
イノサイト マネージング・ディレクター
ダートマス大学の経営学博士・ハーバード・ビジネススクールの経営学修士。主な著書に『明日は誰のものか』(クリステンセンらとの共著)、『イノベーションの解 実践編』(共著)などがある。