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戸川正憲氏:電通ヤング・アンド・ルビカム、コミュニケーション・デザイン局ターゲット・インサイト部シニア・パートナー。現在はグローバル・ブランディング・ツールである「Brand Asset Valuator」を用いたブランドの開発や海外展開、ブランドを核にした戦略の構築などを担当している。

 電通ヤング・アンド・ルビカムのシニア・パートナー、戸川正憲氏はこう指摘します。

 「特に海外ではリーマン・ショック、日本では震災以降、自分たちが使うお金がどう世の中に使われていくのか考える生活者が増えています。急激な価値観の変化に直面し、自分の楽しみだけでなく、社会貢献につながる消費を求めるように変化しているのです」

 同社はアメリカの広告会社「ヤング・アンド・ルビカム」グループの一員として、世界51ヵ国、4万超のブランドを調査したデータベース「Brand Asset Valuator(BAV)」に基づいたさまざまな分析やサービスを提供しています。

 戸川氏によると、このBAV調査では生活者のブランド選択に対してある誤解が判明していると言います。

 「実は長引く不況下にあっても、ブランドを評価するポイントとして『お買い得感』は低い傾向があったのです。一方で、生活者が欲しいと思うブランドで評価が高かったのは、『楽しみ』『伝統』『信頼性』『差別性』といった要素でした。また、生活者が『自分にピッタリと感じているブランド』の条件でも、『コストパフォーマンス』より、『親しみ』や『信頼』、『気軽に接することができる』といった要素が総じて高いスコアを示しました。つまり、人々はとにかく安いものが欲しいと思っているわけではなく、魅力的な理由があれば、高級品であってもお金を使ってもいいと感じているのです」

 その“魅力的な理由”として大きな後押しになるのが、前出の並河氏が指摘したように、「社会を良くしたい」という思いです。ラグジュアリーブランドであれば、商品や企業活動のコンセプトに社会貢献を取り入れることで、信頼性を高めて人々と絆を結び、エクスクルーシブなブランドから、より親近感を覚える存在として選ばれるようになります。