●個々の業務、プロジェクト、プログラムなどに沿って、人々の認識や見解を探る。
 抽象的で一般的な(具体的でない)質問は、相手を不安にさせる場合がある。上司から部下への質問では特にそうだ。したがって、個々の業務の開始時と完了時に(長期プロジェクトの場合は途中にも)部下に「確認」する習慣を取り入れるとよい。開始時には、部下があなた(上司)に何を求め期待しているのかを聞き取る。完了時には、部下に必要なものを提供できたかどうかを尋ねる。実際の業務を率直な話し合いの機会とし、あなたがうまくやれたこと、そうでないこと、至らなかった点、やりすぎた点、そして次回に向けての改善点を聞き出すのだ。この話し合いは、あなたがどんな上司なのか、部下に何を求められているのか、といった一般的な話へと発展させるきっかけにもなる。

 このアプローチは日常的にも実践できる。部下に作業を割り振ったり頼みごとをしたりするたびに、それがどんなにささいなものであっても、自分の要望が相手にはっきりと伝わっているか確認する。次に、その業務を実行するうえで相手が自分に求めるものを尋ねる。多くの場合、「何もありません」という答えが返ってくるが、相手から要求があった場合には、それを承諾し実行する。そして最後に、あなたの役割も含めすべてが期待通りに進んだかどうかを確認するのだ。

 これによって物事を大きく変えるような気づきを得られるかどうかは、保証の限りではない。しかし、大小関係なくすべての業務にこのアプローチを用いることで、あなたが人々の考えや見識を受け入れる人間であると示すことができる。

●率直な意見をくれる人と「成長のための人脈」を築く。
 当然だが、これは強く継続的な絆で結ばれた、信頼のおける相手との人脈でなくてはならない。あなたの言動についてフィードバックをくれ、社内で耳にしたあなたに関する話を教えてくれる人たちだ。そのほとんどは同僚だが、年齢や役職が上の相談相手をこの人脈に含めるのもよい。しかし通常、この人脈に部下は含まない。関係が複雑になり、彼らに関わる厳しい決断を下す際に影響が出てしまうからだ。

●あなたの上司が協力的ならば、貴重な情報源になる。あなたと接した実体験に基づく意見や、あなたに対する周囲の見解を教えてくれる。
 そのような上司は、単にあなたの業績を評価するだけでなく、頼もしいコーチとなり成長を促してくれる人物でなくてはならない。上司とこのような関係を築ければ、あなたにとって間違いなくプラスとなる。有益だがあなたには入手できない社内情報や意見を上司は持っており、自分に関する認識や評価をさらに広い視点から知ることができる。そして多くの場合、上司は率直に意見を述べてくれる。自分の上司がこの役割を担ってくれるかどうか、試してみるだけの価値は絶対にあるだろう。

 これらのアプローチはどれも、時間と継続的な努力が必要とされる。自分に対する周囲の偽らざる認識と信頼度を知るためには、正しい質問だけでなく、正しい人間関係も必要なのだ。


HBR.ORG原文:Seeing Yourself as Others See You September 16, 2011

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リンダ・A・ヒル(Linda A. Hill)
ハーバード・ビジネススクールのウォーレス・ブレット・ドナム記念講座教授。経営管理論を担当。主な著書にBeing the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader(邦訳『ハーバード流ボス養成講座 優れたリーダーの3要素』日本経済新聞出版社)がある。

ケント・ラインバック(Kent Lineback)
著述家。リンダ・ヒルとの共著Being the Boss: The 3 Imperatives for Becoming a Great Leader(邦訳『ハーバード流ボス養成講座 優れたリーダーの3要素』日本経済新聞出版社)がある。