実際のところ、その方法は驚くほどシンプルだ。あなたが誰かを戸惑わせるようなことをしたとしよう(どちらが正しいかはさておき)。その際、あなたの行為が相手にどんな影響を与えたかを認めるところから、会話を始めるのだ。あなたの真意については、後で話せばいい――ずっと後で。いや、むしろ話さなくていいかもしれない。というのは、結局のところ、あなたの意図がどうだったかは大きな問題ではないからだ。

 それに対する相手の言い分が正しいとは思えない場合、あるいは理にかなっていると思えない場合はどうだろう? それも問題ではない。なぜなら、あなたは合意を目指しているわけではないからだ。目的は、結果を理解することだ。

 だとしたら、私は妻に何と言うべきだったのだろう?

 「怒るのも無理はない。30分もじっと座って待たされるのはつらいよね。おまけに今回が初めてじゃないし。それに、クライアントと一緒だったから遅れてもかまわない、と僕が思っているように見えるかもしれない。こんなに長い時間待たせてしまって、本当にすまなかった」

 このどれもが本当のことなのだ。必要なのは相手にとっての現実を認めることであり、それは2人の関係を維持するために重要だ。「自分の目に映る現実が、相手から否定されるとしたら、関係を維持しようという気持ちはなくなるよね?」とケンは私に言った。その通りだ。

 前述のeメールのやり取りでは、あなたの意図を明確にする代わりに、次のように書いてみるといい。「君の会議での態度を批判したために、しかもメールで伝えたために、さぞ気分を害してしまったことと思う。責めているように響いただろうし、会議での君の努力を無視しているように感じただろう」

 私は、対処法はシンプルだとは言ったが、簡単だとは言っていない。

 一番難しいのは、感情的な抵抗である。私たちは往々にして、自身が抱えている課題ばかり考えているため、他人のそれを認識するのが難しい。自分が相手にとっての課題であったり、相手が自分にとっての課題であったりする場合は、なおのこと難しい。相手がこちらを激しく非難している時、あるいは自分が相手から誤解されていると感じる時もそうだ。そうした状況で相手に共感し、自分に対する相手の批判を受け入れることは、自分を裏切っているような気持になってしまうのだ。

 しかし、そうではない。ただ相手に共感しているのであって、自分に嘘をついているわけではないのだ。

 幸い、うまく折り合いをつける秘訣がある。相手があなたに腹を立てている時には、こう想像してみよう――怒りの矛先はあなたではなく、誰か他の人であると。そして、第三者として話を聞いたら自分がどう反応するかを考え、その通りに行動してみるのだ。たぶんあなたは耳を傾け、腹を立てるのももっともだ、と伝えるだろう。

 その結果、あなたの真意を説明できなかったらとしたら、どうだろう。実は、私が実践を積んで気づいた、驚くべき事実がある。自分が招いた結果について理解していることを表明すれば、意図を正当化しようという気持ちは消えてしまうのだ。

 そもそも、自分の意図を説明しようとするのは、相手との関係を修復するためだ。しかし、相手の体験に共感することによって、すでにその目的は達成されている。通常はその時点で、双方が前進する準備は整っているはずだ。

 それでもなお、真意を説明したいと感じたなら? 相手が「自分の体験は受け入れられ、話を聞いてもらえて、理解された」と感じた後に、そうすればいい。

 このすべてをうまくやれれば、改善されるのは両者の関係だけではなく、他のメリットもついてくることが多い――自分自身の行動も改まるのだ。

 妻とあの会話を交わしたのち――つまり、遅刻が彼女をどれほど傷つけたかを本当に理解した後で――私は以前よりずっと約束の時間を守るようになっている。


HBR.ORG原文:What to Do When You've Made Someone Angry April 23, 2013

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ピーター・ブレグマン(Peter Bregman)
CEOおよびリーダーにアドバイスを行う戦略コンサルタント。最新刊は『最高の人生と仕事をつかむ18分の法則』(日本経済新聞出版社)。