コミットメントと不協和をめぐる、4つの因果

 ①自分で選んだ、②第三者に説明責任がある、③すでにコストをかけて未練がある、④みんなと違うことをする。この4つの場合に、認知的不協和は大きくなり、より強いコミットメントが必要となる。

 コミットメントの強さと、意思決定の結果として発生する不協和の強さは、①選択の自由、②説明責任、③回収不能コスト、④通常からの逸脱、の4つの要因によって決まる。順に説明しよう。

①選択の自由
 コミットメントは意思決定が自発的に行われた際にのみ発生する。つまり、誰かから強制や指示を受けて行った行動からだと、自分自身のコミットメントは低いものになりがちである。自発的に選択できないのであれば、自分自身で責任をとる必要を感じない可能性が高いからだ。

②説明責任
 意思決定におけるコミットメントは、どの程度の説明責任が認識されているかに比例して高まる。言い換えれば、下した意思決定によって得られる結果が、ある程度予測できることが必要になる。予測可能であれば、結果をよりポジティブなものにして、自分の能力の貢献度を認識したいと思うからである。

 一方、ネガティブな結果に対しては、多くの場合、限定的な説明責任しか感じない。「失敗したのは、あの人の準備が悪かったからだ」というように、他人の責任にする傾向がある。また、自分自身の説明責任だけでなく、相手から不当に押し付けられる説明責任も考慮せねばならない。これを「基本的な帰属の誤り」という。特にファンドマネージャーのように、多くの投資家(第三者)に対して説明責任を負う場合、とりわけこの傾向が強くなりがちだ。それを表すと図2のようになる。

③意思決定のために費やした回収不能コスト(サンクコスト)(注1)
 一般的には、意思決定のプロセスやその意思決定そのものによって、すでに支払ってしまったコストのことをいう。たとえば、特定のプロジェクトを選択するまでに費やした時間や労力がそれに該当する。つまり、「自分としては、プロジェクトに、これだけのエネルギーをかけたのだから、そう簡単には撤退できない」と考えるわけだ。

 しかし、冷静に考えると、そのコストはもう支払われてしまっているので、プロジェクトが成功しても、失敗しても、そのコストの負担には関係がない。ということは、そのプロジェクトの成功確率が明らかに低下した場合には、潔く撤退する方が合理的ということになる。ところが実際の人間の心理は、なかなか合理的に働かない。「これだけ努力したのだから、いずれ何とかなるはずだ」と思いがちだ。