●意思決定に関わる人が多すぎる
 大勢で重要な決定を行うのは難しい。繊細な問題が十分に議論されず、論理的な議論に感情が入り込む。事実、我々の調査では「7の法則」が浮かび上がった。グループの人数が7人を超えると、1人増えるごとに意思決定の有効性が10%下がるのである。アップルとフェイスブックの成功の一因には、非常に簡素化された意思決定モデルがある。フォード・モーターでは、最も重要な意思決定は、少人数に限定された上級幹部グループによる「スペシャル・アテンション」会議で話し合われる。

 参加予定者が15人を超える会議に呼ばれたら、こう自問してみよう。「この会議で、本当に重要な意思決定ができるのだろうか?」

●機会費用の検討を怠る
 新しい何かを始めることだけが、重大な意思決定ではない。現在行っていることを継続するという判断も、同じように重大で、深刻な結果を招く場合がある。つまり、競争力がない製品を廃止しないという決定や、利益の出ない市場から撤退しない決定などである。これらは買収を行うのと同じくらい、経営陣の貴重な時間や他の経営資源を浪費する。それなのに、損失を出している事業の継続に伴う機会費用を十分に理解する幹部はわずかしかいない。レンタルビデオを運営するブロックバスターは、昔ながらの実店舗を閉鎖しないまま、ビデオの宅配とデジタル配信事業にシフトしていった。この決定が、かつては強力だった小売業の運命を決めたのだ。

 問題ある事業の継続を検討する時は、こう自問しよう。「この事業に取られている経営資源を、別の何かに使えないだろうか?」

●変革における実行面での課題を過小評価する
 重大な意思決定には複雑さが伴うため、決定のみをもって円満に終わることはほとんどない。最近ベインが行った調査によると、大規模な変革が計画通りに実行されたケースは全体のわずか12%だった。なぜなら変革は困難なものであり、変えるものが大きいほどリスクも大きくなる。実行面の困難を過小評価した最近の例としては、米政府の医療保険サイト〈HealthCare.gov〉の立ち上げが挙げられる。このウェブサイトに伴うリスクは予測できるものだったのに、十分に対応策を検討しなかったように見える。その結果、必要な予防措置が取られず、立ち上げから数週間のうちに機能停止状態に陥った。

 重大な意思決定を前に熟考しているなら、こう自問してみよう。「決定後、まず最初に起こることは何だろうか。変えなければならない行動は何か」

 重大な意思決定は、文字通り大きな影響力がある。うまくいかなかった場合、その理由はこれらの誤りを1つ以上犯しているからだ。これらを回避したからといって成功する保証はない。しかし、よりよい意思決定ができる確率は大幅に高まるだろう。


HBR.ORG原文:The Five Traps of High-Stakes Decision Making November 14, 2013

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マイケル・C・マンキンズ(Michael C. Mankins)
ベイン・アンド・カンパニーのパートナー。サンフランシスコを拠点とし、南北アメリカにおける組織プラクティス支援を率いる。