たとえば、ストレングス・ファインダーの結果から、「達成欲(achiever)」「活発性(activator)」「指導力(command)」の資質を持つとされたリーダーは、「強制力」が「行きすぎ」と評価されることが多かった。同じように、「成長促進(developer)」「調和性(harmony)」「包含力(includer)」の資質を持つ場合には、「支援力」が「行きすぎ」と評価されていた。全般的に見ると、リーダーは生来の強みに関連する側面において、そうでない側面に比べ5倍も「行きすぎ」の傾向があった。

 強みが度を越せば、悪影響を及ぼす。我々は、アメリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジアにおける、中間管理職からCEOに至る数千人のマネジャーを調べた。するとリーダーの行動は、従業員の意欲、チームの生産性、そしてリーダー自身の有効性と曲線関係にあることが示された。それらの水準は、(先述した4つの)リーダー的側面が「足りない」と評価されたマネジャーの場合には低く、「適度」の場合には最も高く、「行きすぎ」の場合にはやはり低かった。つまり、行きすぎは不足と同じくらいマイナスとなるのだ。

 思いがけない発見もあった。多くのリーダーが、自分の強みを知らないだけでなく、強みについてのフィードバックを軽視し受け入れようとしない。強みを十分理解するには意識的な努力が欠かせないが、それは強みを上手に活かすための必要条件である。強みを適切に保つには、自己認識と状況認識の両方をうまく組み合わせる技術が求められる。

●自分自身に気づく
 課題解決には、目前の課題の理解と迅速な対応が求められる。そのためには自分のデフォルト、つまり生来の性質を知る必要がある。たとえば、もしもあなたが達成志向で、指導力に富むタイプなら、強制的になりすぎているかもしれない。自己認識を高めれば、目の前の課題に対して、習慣的にではなく注意深く対応できるようになる。ある企業幹部はいみじくもこう言った。「直球勝負をやめる必要はないが、毎回それをやる必要はない」

●状況に気づく
 強みの調整を、音量調整のように考えてみるといい。秘訣は、状況に応じて目盛を合わせること。静かで親密なやり取りをする時には穏やかな音楽を、ダンスパーティーでは大きな音で生き生きと。スピーチにどれほどの熱意を込めるか、懸念をどれだけ深刻に強調するか、どれほど長く議論を引っ張るか、問題をどこまで深く掘り下げるか、どれほどのペースで変革を推し進めるか――。これらすべてにおいて、あなた自身の強みを知り、相手をも理解したうえでの巧みな手さばきが必要だ。

 強みの水準が高いほど、度を超す危険も大きくなる。この点を警告せずに強みだけを重視するのは、無責任とは言えないにしても怠慢だ。強みの行きすぎを抑えるためには、弱みを改善するための能力開発、つまり基礎能力の補強とは異なるアプローチが必要になる。つまり、すでに持っているスキルをより洗練させるということだ。状況に応じて必要な強みをより選択的に用いることを学び、その強みをどれくらい発揮すれば十分なのか――あるいは行きすぎなのか――を計算しなくてはならない。


HBR.ORG原文:Don't Let Your Strengths Become Your Weaknesses April 4, 2013

■こちらの記事もおすすめします
雄弁な人が陥りがちな、セールスの落とし穴

 

ロバート・B・カイザー(Robert B. Kaiser)
企業幹部のリーダーシップ開発を支援する、カイザー・リーダーシップ・ソリューションズのプレジデント。

ロバート・E・カプラン(Robert E. Kaplan)
企業幹部のリーダーシップ開発を支援する、カプラン・デブリーズの共同創設者。