――ベゾスの周囲は、彼の言動をそっくり真似る「ジェフボット」と呼ばれる幹部たちで固められている、と書かれていますね。意思決定の際に、彼らはイエスマンになるのでしょうか、それとも反論できるのでしょうか。

「ジェフボット」という言葉はたしかに真似を示唆しますが、忠誠という意味合いも込められています。ジェフのリーダーシップのスタイルは、人に伝染するのです。アマゾンで頭角を現しているのは、ジェフの信条を自分のものにした人々です。だからジェフボットはイエスマンではなく、ジェフの考え方を身につけただけなのだと思います。

 アマゾンはかなり分権化された組織で、そうした幹部のなかには事業運営と意思決定を任されている人もいます。その筆頭に挙げられるのがアンディー・ジャシーです。彼はアマゾン初の公式の「シャドー」(影なる分身 )でした。参謀長のような役割で2年間ベゾスの後に付いて回り、すべての会議に同席しました。現在アンディーは最高幹部として、アマゾン・ウェブ・サービスという壮大な事業を任されています。

――ベゾスは意思決定の際に、ウォール街を無視できる類いまれな才能の持ち主ですが、彼にできて他のCEOにできないのはなぜでしょうか。

 昔からそうだったわけではありません。自分が正しいことが証明されたからでしょう。1990年代後半、ウォール街の投資家たちはベゾスを信用していましたが、その後(彼がアマゾンを急拡大させてから)の5年間は信じませんでした。しかしこの間アマゾンは一貫して明確な戦略を打ち出し、予想を的中させました。結果的にベゾスは自分を信頼し、自分のシナリオを信じる株主を集めたのです――レッグ・メイソンのビル・ミラーのような人々を。そうした株主たちは、彼が規律をもって会社を経営していることを認め、アマゾンは儲かるビジネスだが、時には新しいことにも投資する(したがって利益を犠牲にする)必要もあるのだと認識しています。

 結局は創業者の信用がものをいうのです。先見性と経営能力をバランスよく持っていることがいったん証明されれば、ウォール街は目をつぶってくれる。それだけの信用を得ているCEOはそうはいません。ヤフーのマリッサ・メイヤーは、創業者ではありませんが近いものがあります。ラリー・ペイジは、ずっとグーグルのCEOだったわけではありませんが、間違いなくその一人です。。

――アマゾンには、意思決定に関する独特の手法がありますね。会議ではパワーポイントは使われず、議題が6ページにまとめられた資料を出席者全員が読むことから始まります。社員の昇進を決めるための入念なシステムもあります。こうした手法は、他の企業でも通用するものでしょうか。

 おそらくしないでしょう。ジェフ・ベゾスの情報処理方法にぴったり合わせてつくられているからです。本にも書いたように、会社全体がジェフの頭脳を核に組み立てられています。まるでチェス盤があちこちに置かれていて、ジェフがすべてのゲームを同時に、非常に効率よく進められるようにできているみたいです。アマゾン出身者の多いグルーポンで部分的に試されていますが、お勧めはできません。会議の始まりで、出席者が資料を読むために20分間の沈黙を続けるようなやり方は、ほとんどの企業には受け入れがたいものでしょうね。

 

HBR.ORG原文:How Jeff Bezos Makes Decisions October 18, 2013

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ダニエル・マッギン(Daniel McGinn)
『ハーバード・ビジネス・レビュー』のシニアエディター。