このことを認識しながら、意思決定のプロセスを再考しバイアスに対処しよう。上記のようなヒューリスティックス(経験則に基づく、おおまかな意思決定方法)は、多くの人々が農作業などに従事していた頃にはとても有用だった。しかし、今日の知識ベースの仕事に適用すると、リスク/リワードの意思決定にバイアスがかかる可能性が生じる。その影響を最小限にするためには、以下を行う必要がある。

●関連しうる証拠や、反証となる材料を執拗に探す

●反対意見を表明する役割を、チームに取り入れる

●自信過剰を防ぐために、外部から多様な意見を求める

●(結果のみではなく)プロセスを評価し、狙いや努力が妥当であるならば失敗の責を問わない

●問題を別の視点から捉える(リフレームする)、あるいは逆側から考える。状況を肯定的な、もしくは否定的な枠組みで見ていないか検証する

●過去の問題は忘れて、いまこの時点で問題を再定義し、不要な立場固定を避ける

●損失を切り捨てるべき時にこだわりを残さないための、体系的な評価プロセスを設ける

●時期尚早な公約を避けることで、誤った意思決定への立場固定や過度の肩入れを防ぐ

 全体を通じて重要なのは、たいていのリスクは外部的な偶然の出来事から生じるのではなく、むしろ人の行動や意思決定から生じるのだということを認識しておくことだ。自分たちのいまの将来展望と、長らく持ち続けている前提条件は、果たして正しいのか。理知的な厳密さをもってこれを検証することが、企業の真のリスクを管理する唯一の方法なのだ。


HBR.ORG原文:How to Minimize Your Biases When Making Decisions September 24, 2012

 

ロバート・F・ウルフ(Robert F. Wolf)
損保アクチュアリー会フェロー、公認企業リスクアナリスト、アクチュアリー会アソシエイト、米国アクチュアリー学会会員。米国アクチュアリー会のジョイント・リスク・マネジメント部門のスタッフ・パートナー。損保アクチュアリー会、カナダ・アクチュアリー協会でも、スタッフ・パートナーを務める。