それだけではない。責任を取るには勇気が必要であり、勇気を見せることが強さの証明になる。あなたを責めようとしている人は、沈黙せざるをえなくなる。すでに責任を取っているあなたに、それ以上何を言えるだろう? 犯人捜しの会話にピリオドが打たれ、あなたは問題解決に集中することができる。

 保身に回れば、足元をすくわれる。しかし責任を負えば、信頼を得られる。そうすることで他者につけこまれ、よけいに非難を招くリスクがある、と考える人もいるだろう。しかし、そういう事態はめったに起きない。

 あるハイテク企業のCEOと直属の幹部たちを集め、戦略オフサイト・ミーティングを開いていた時のことだ。前四半期の芳しくない成績が議題に上がっていた。幹部たちは次々に、最終的な責任は自分にはないと主張し、他の要因を指摘していった。

 やがて販売部門の責任者であるデイブが、口を開いた。彼は自分が犯したと考えている失敗を列挙し、今後やり方をどう変えるつもりかを語った。

 他の幹部はデイブに追い打ちをかけるようなことはしなかった。その反対に、デイブの責を軽くするような発言をし始めた。そして次々に、同社が直面する課題に対して自分が負う責任に言及し始めたのだ。

 責めを負うことで、お手本を示すことになる。あなたがそうすれば、他の人たちは責任を取らない自分が恥ずかしくなる。誰もあなたを攻撃しないとわかれば、彼らもリスクを取る勇気を持てる。

 また、たとえ誰もあとに続いてくれなくても、あなたはもう過ちを繰り返すことはなくなる。結局それこそが、成功のカギとなるのだ。デイブは責任を取ることによって、会議の流れを変えた。結果的には会社の軌道をも変え、やがて昇進を手にした。

 なお、この方法には1つ留意すべき側面がある。責任を取るためには、自分自身とその能力に自信を持てなくてはならない。失敗を受け入れる力が必要なのだ。失敗から学び、いつの日か成功できると信じる十分な自負心も必要だ。失敗は自分という人間を決定づけるものではなく、人生には付きものであることを受け入れよう。

 つまり、犬のしっぽを踏んでしまっても気にすることはない。よくあることだから。犬を叱らなければ、それでいい。

※個人名と細部は変更している。


HBR.ORG原文:Why You Should Take the Blame April 8, 2013

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ピーター・ブレグマン(Peter Bregman)
CEOおよびリーダーにアドバイスを行う戦略コンサルタント。最新刊は『最高の人生と仕事をつかむ18分の法則』(日本経済新聞出版社)。