4.プラットフォームをつくる

 あなたのビジョンに十分な説得力があれば、多くの人が実現を手助けしてくれるだろう。その核となるプラットフォームを持つことは、支持者同士の見えざる摩擦を取り除き、支持基盤の拡大とさらなる参加を促す。大切なのは、人々が互いにつながり、協力し、強みを引き出し合う方法を見つけることだ。マーティン・ルーサー・キングの場合、アメリカ南部全域の教会が組織化の中心的プラットフォームとなった。職場であれば、社員食堂で相席するテーブルのようなシンプルな場も、プラットフォームとなるかもしれない。

 オンライン上のさまざまなコミュニティのおかげで、今日私たちが構築するバーチャルな人間関係は、直接的な関係と同じくらい強いものも多い。たとえば、オンラインゲーム〈ワールド・オブ・ウォークラフト〉のギルド(プレーヤーどうしのグループ)は、複雑な問題を協力して解決することに多大な情熱を注ぐオンライングループだ。力を貸したい人々が集まれるバーチャルな場所をつくれば、時間や場所の制約抜きに参加できる。実際に顔を合わせる会合から次の会合までの間、関与・貢献を続ける手段にもなる。企業の場合、シェイピング戦略におけるプラットフォームで重要なのは、次の点に関して工夫を凝らすことだ――交流を阻む障壁を低くすること、参加に要する投資を極力抑えること、そして参加に対する見返りを充実させること。

5.クリティカル・マス(必要十分な数の支持者)を獲得する
 文化人類学者のマーガレット・ミードがかつて言った、有名な言葉がある。「思慮深く、献身的な、少数の市民が世の中を変えられる、ということを疑ってはなりません。実際に世の中を変えてきたのは、そういう人々にほかならないのです」。ビジョンの初期段階では、まさにその通りだ(たとえばMADDは最初、母親たちの小さなグループにすぎなかった)。しかし大きな支持基盤があれば、あなたの大義に信頼性が生じる。ソーシャルソフトウェアによって、幅広い受け手にメッセージを届けることがかつてなく容易になった。SNSを介してリーチした人々は、取り組みへの関与は弱いかもしれないが、彼らの支持によって、あなたの大義への注目度は高まり、ビジョンを共有してくれる情熱的な参加者との新たなつながりが生じる可能性がある。

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 今日の世界ではますます、自分が生きる環境をみずから形成できるようになりつつある。シェイピング戦略は、大規模な組織にしかできないものではない。実際、我々の研究によれば、成功したシェイピング戦略の多くは、市場や業界の端にいて限られた資源しか持たない人々によって実行されている。シェイピングの対象が職場であれ社会であれ、小さくても賢い動きを起こせば、大きな物事を動かすことができるのだ。


HBR.ORG原文:How to Make Your Big Idea Really Happen May 9, 2012

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ジョン・ヘーゲル3世(John Hagel III)
デロイトコンサルティングLLPのディレクター。デロイト・センター・フォー・エッジの共同会長も務める。HBR論文Unbundling the Corporation(邦訳『アンバンドリング:大企業が解体されるとき』DHBR2000年5月号)で、1999年マッキンゼー賞受賞。著書にジョン・シーリー・ブラウンおよびラング・デイビソンとの共著The Power of Pull (邦訳『「PULL」の哲学』主婦の友社、2011年)など、多数。>

ジョン・シーリー・ブラウン(John Seely Brown)
デロイト・センター・フォー・エッジ独立共同会長。元パロアルト研究所(PARC)所長、南カリフォルニア大学の客員研究員も務める著名な認知科学者。著書にジョン・ヘーゲル3世およびラング・デイビソンとの共著The Power of Pull (邦訳『「PULL」の哲学』主婦の友社、2011年)など、多数。
共に執筆した論文多数。『「所有から利用へ」のITマネジメント』(DHBR2001年12月号)、『「所有から利用へ」の成長戦略』(DHBR2003年2月号)、『もはやITに戦略的価値はない』(DHBR2004年3月号)、『摩擦のマネジメント』(DHBR2005年9月号)、『シェイピング戦略』(DHBR2009年11月号)、『大転換を見極める指標』(DHBR2009年11月号)など。