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ライフスタイルを提案するレクサスのブランドマガジン「BEYOND 」。あえて紙の“雑誌”にこだわることで、他ブランドのPR媒体との差別化に成功した。

 また、レクサスも2013年5月から「BEYOND」というオウンドメディアをスタート。一部のコンテンツをサイトで公開しているものの、基本的には紙にこだわった“雑誌”として発行されています。

 手がけるのは、ロンドン発のグローバル情報誌「MONOCLE」編集長のタイラー・ブリュレ氏が率いるWINKREATIVE社。レクサスの最新情報から旅、建築、アートなどを総合的に扱うライフスタイルマガジンとして編集され、実際の書店でも世界中のファッション雑誌や情報誌と並んで販売されています。

 これらのブランドは、PR誌のようにブランドの自社情報を流すだけではありません。まさに“雑誌”のように、ライフスタイルやカルチャーを積極的に取り入れることで、生活者目線の情報をセレクトしています。それが人々とブランドの絆を深め、ファンを増やすことに貢献しているのです。

 さて、ブランドによって中心に据えるコンテンツや方向性は違いますが、前出のゴヴァース氏が指摘した「顧客をどのようにエンゲージしていくのか(絆を築くのか)」という課題に、ラグジュアリーブランドがオウンドメディアの進化によって応えようとしていることが見えてきました。

 しかもこれは、ラグジュアリーブランドにこそ必要とされていた施策だとゴヴァース氏は言います。

 「ブランドと顧客の関係性の深さを図る指標に、ネット・プロモーター・スコア(Net Promoter Score、NPS)というものがあります。簡単にいえば、『それがどのくらい人に薦めたくなるブランド(または商品)か?』を表す指標のことです。ラグジュアリーブランドは、このNPSに特徴があります」

 それは個々の商品に対するNPSは低いが、ブランド全体に対するNPSは高い数値を示す傾向があること。つまり、ラグジュアリーブランドで買い物をする人は、商品の機能性だけではなく、そのブランドの思想や哲学といったイメージを含めて購入していることが指標として表れているのです。

 「このように、ラグジュアリーブランドにおけるNPSの場合はイメージの影響が強く、商品自体の劣化とは関係がありません。また、NPSは時間の経過とともにゆるやかな下降線を辿っていきます。購入時に抱いたようなブランドに対する“熱狂”は、大体6ヵ月ほどで減少していきますが、これはファッションコレクションのサイクルと合致します。だから、従来のラグジュアリーブランドはコレクションのたびに新たな広告イメージを展開し、期待感を煽ってきたのですが、前述したように今どきの生活者には企業からの一方的なメッセージ発信は届きづらい。そこで今はラグジュアリーブランドで買い物をした直後から、NPSを下げないためのケアが必要になる。だから継続的にブランドのメッセージを伝え続ける手段、それも、インターネットの口コミでも左右されないエンゲージメントの方法として、オウンドメディアの重要性が増しているのです」(ゴヴァース氏)

 次回はオウンドメディアの枠を超え、新たなメディア展開に乗り出したラグジュアリーブランドの事例に迫ります。