福井氏が“本気度”と表現するように、最新のトレンドをなぞるのではなく、あくまでブランドのコアといえる価値観を中心に据えることで、そのブランドにしかできないコンテンツを提供することが、ラグジュアリーブランドのオウンドメディアに求められます。

 そのうえで、ただ生活者に情報を提供するだけではなく、ブランドを体験するスペースをネット上に提供したり、インタラクティブなコミュニケーションを促したりといった工夫が、ネットの口コミに左右されないブランドメッセージを届けるためには必要となるわけです。

生活者目線で情報をセレクトすることで、ファンとの絆を深める

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ラルフローレンのウェブサイトにあるオウンドメディア「RL magazine」。なかには他ブランドのデザイナーを紹介する記事も。

 冒頭に紹介したInside CHANELは、オンライン上のブランド体験スペースと言えますが、進化するラグジュアリーブランドのオウンドメディア展開は、それだけに留まりません。

 ラルフローレンはオンラインマガジン「RL magazine」や、大人の着こなしアドバイスなどを盛り込んだ「RL Style Guide」をブランドサイト内に展開。アメリカの新聞記者や雑誌編集者らが執筆しており、ブランドの商品とは直接関係のない高級車やトラベルガイド、さらには他社デザイナーのエピソードなども掲載することで、“伝統と革新”というラルフローレンのアイデンティティをネット上で多角的に表現しています。

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メルセデス・ベンツのオンライン・カルチャーマガジン「mb!」。ベンツが独自目線で選んだミュージシャンの曲を集めた「mixed tape」の人気は高く、世界中の音楽ファンからも支持されている。

 ファッション以外では、メルセデス・ベンツの「mb!」がオンラインのカルチャーマガジンとして発信されています。そこではクリエイターのインタビューやイベント情報、そしてベンツにまつわるライフスタイルが語られていますが、目玉は2004年からベンツが行っている「mixed tape」というコンテンツを取り入れていること。

 これはベンツが「ドライブのための音楽」をテーマに、世界中の若手ミュージシャンから集めた音源を無料で公開している合法音楽サイトです。累計で250万人以上のユーザーが利用しており、すでに50本以上(1回の更新につき10曲セット)の“ミックステープ”が提供されています。