ラグジュアリーブランドこそ、“オウンドメディアの本気度”が問われる

 オウンドメディアの目的は企業サイトやPR誌にありがちな一方的な情報発信ではなく、生活者とのコミュニケーションの軸にコンテンツを据えることで、ブランドのアイデンティティを共有してもらうことにあります。

 特にソーシャルメディア時代の今、この“コンテンツの共有”がユーザーとの絆を深めるために重要になってきています。そこで問われるのは、「それが本当に共有したくなるほど、魅力的なコンテンツなのか」というエンゲージメントの強さです。

 「とはいえ、そこで新しいトレンドを表面的に取り入れても効果は望めません。インターネットに情報があふれる時代だからこそ、ラグジュアリーブランドだからこそ可能な“本気度”が求められていると思います」

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福井盛太氏:SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS FOUNDER/CEO、編集者。プレジデント社の編集を経て、02年に独立。08年1月に「人と物と情報が行き交い新しい知性が生まれる書店」としてSPBSをオープン。12年には渋谷ヒカリエの1FにSPBS annex(4月から店名変更予定)をオープンした。

 そう語るのはSHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSのFOUNDER/CEO、福井盛太氏。プレジデント社を経て、フリーランスの編集者として活動後、書店やセレクトショップのプロデュースなどを手がける福井氏は、メディアビジネスの現状と変化をよく知る人物です。

 「生活者との信頼関係を作り上げるブランディングをしようとしているのに、中途半端なコンテンツを発信したら、それこそかえって信用を失うでしょう。特にリーマン・ショック以降は、高感度な人々がステータスとしての消費スタイルを避け、より本質的なライフスタイルを選んでいる印象を受けます。書店における雑誌の売れ行きを見ても、ファッション系が軒並み売り上げを落としています。その代わりに再評価されているのは、例えば『暮しの手帖』や『LEON』です。互いに正反対の価値観を打ち出している雑誌ですが、その“ブレない姿勢”が読者の共感につながっているんです」(福井氏)

 オンライン空間に情報が氾濫しているからこそ、一朝一夕では生み出せない両誌のブランド価値が注目を集めるという構図は、ラグジュアリーブランドにも通じるところがあります。